震災の記憶

2011年3月11日
祖母が津波にのまれ、行方不明になりました
本日、2014年3月11日
震災から3年が経ちましたが、未だに祖母は見つかっていません

祖母が住んでいたのは岩手県の大槌町(おおつちちょう)という海に近い町です
祖父母2人で暮らしていた家は、海から300メートル、という非常に海に近い場所に建っていました
智和は東京に住み、遠さの問題もあって岩手に行ったことはありませんでした
祖父母が東京に来て智和と会ったこともあるらしいのですが、智和が当時2歳と幼かったため記憶にありません
智和が祖母にあったのはそれっきりです
なので、智和は祖母に会ったことが無い、と言っても過言ではないのです
智和は会ったことが無いに等しい祖母を、自分の記憶にこの目で刻む前に喪ったのです
智和が初めて祖母の顔を見たのはお葬式の遺影でした
自分の祖母を、遺影、という形で初めて見るのはあまりにも衝撃が大きすぎました
法事中、智和の目から涙が零れ落ちることはありませんでした
悲しみとショックの渦にのまれて途方に暮れ、涙すら出てこなかったのです
そんな智和がようやく祖母の事で涙を流せたのは中学校で別れた小学校時代の友人(以下E)のお蔭でした
震災以降、親戚たちを案じてくれていたEには色々な事を話してきました
祖母を初めて見たのが遺影だったことも例外にもれず、四十九日までの法事が全て終了したのちにメールで話したんです
その返信が心にストンと落ちてきて、やっと泣けたのです
四十九日の法要を終えてから3日後の事でした

今でも、ふとした瞬間に涙ぐむ時があります
志望校に推薦で合格した日には「電話で報告したかったな」、と
高校の制服が届いた日には「制服姿、見せたかったな」、と
「逢いたいな」、と
強く願い、叶わぬことに悲しみを感じ、涙ぐむのです
中学校に入学してからの3年間、祖母を忘れたことなど1度もありませんでした
智和がどんなに辛さのあまり忘れることを望んでも、現実は忘れさせてくれないのです
社会で、国語で、総合で
色んな時間に智和の傷をえぐるかのように震災の話が出てくるのです
そして、必ずと言っていいほどに智和に震災について、意見を求めるのです
今まで、それが辛くて、苦しくて
嫌で嫌でたまりませんでした
それでも、卒業を目前に控えた今
智和は思うのです
「震災を風化させてはいけない」、「辛くとも被災者や直接被災していないその親戚が伝えていかなければいけないのだ、それが使命なのだ」、と

ここまで読んでくださった皆さまにお願い申し上げます
“東日本大震災”という、甚大な被害をもたらした大災害をご自身の中で風化させないでください
募金など、行動を起こしていただかなくても構いません
ただ「風化させない」で頂きたいのです
それだけでも被災地は救われます
目に見える物資、復興のための人員、皆さまのご支援並びにご協力も必要ではありますが、震災を皆さまの記憶に刻み付け風化させないでいただくことが一番の支援なのだと思います

何年後、何十年後
また日本のどこかで大きな地震が起きて、智和のような思いをする人間ができない様に
風化させずに記憶に刻み付け、震災と震災から学んだことを、震災の時に感じた人の絆と合わせて伝えていっていただけたら、と思います

被災地の復興、被災者の心の復興
未だ行方不明となられている方の早期発見
そして、震災でお亡くなりになられた数多くの方々のご冥福を祈って結びとさせていただきます
乱文だったとは思いますが、ここまで読んでくださいましてありがとうございました

2014.3.11