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MAJOR ゴロカオ
「うー寒」

ハーと息をはけば、白い息。
冬の夜は寒いけど、空気が澄んでいて私は好きだ。
何より家に帰った時に感じる、温かさ。

それを想像して、家へと足を速める。

「よう、清水」

急に名前を呼ばれるけど、振り返らなくても誰かなんて分かる。それでも振り返ってしまうのは、しょうがない。

「お前、今帰りか?何やってんだよ」

野球バカなこいつには、受験生という概念はあるのだろうか。

「塾の帰りだよ」
「塾ぅ?」
「私だって大学受験を控える、立派な受験生なんだからな」

なるほどねぇ、と隣に並ぶ本田が呟く。

「そういうお前は何してんだよ」
「俺は日課のランニングだよ」

言われてみればジャージ姿の本田。

「頑張るのは良いことだけど、無理だけはすんなよ」

言っても無駄だとは思いつつ、言わずにはいられない。
海堂戦での足が、私にはまだ不安でしかない。

そんな私の不安を他所に、「俺は常に全力だよ」なんて言う本田。

「そーいやお前ランニングの途中なんだろ、私と歩いていいのか?」
「あ?別にいいだろ。家まであと少しだし、もう十分走ったしな。明日の朝も走るし」

それに、最近清水と話してなかったからなー、なんて。

本田からしたら、ただの事実を述べただけなんだろう。
だけど、そう言ってくれたことが嬉しくて。

「そうかよ」

なんて、かわいくないことしか言えなくて。
さらにかわいくないなって思うこと。

「やっぱ走って帰れよ」
「はあ?」
「だってさっきまで走ってたってことは、汗かいたってことだろ?汗が冷えたら風邪ひいちゃうし、今冬だし。走って帰れ」

ありがとうどころか、そんなことを言う私。部活も無くなり、一緒に帰る機会が減って、今一緒に帰っているという状況は嬉しいけど。

それで風邪なんかひかれたくない。

「ばーか、鍛え方が違うっての。大体こんな時間にお前1人で帰らせねぇって」
「……別に私を襲う物好きもいないだろ」
「分かんねえぞ、暗いとふっとい太ももとぶっさいくな顔は見えねえからな」
「殴ってほしいの?」

そんなことを言いあいながら、私のこと心配してくれてるんだなって嬉しくなって。

家までの距離が、もっとあれば良いのに。


「よう、清水」
「よう、本田」

それから私たちは、塾の帰りとランニングの途中で会って、一緒に帰るのがお決まり。

寒い帰り道が、今日も温かい。

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作者名:にらたまご | 作成日時:2017年12月25日 13時

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