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本作は枢町草葉荘シリーズの2作目です。登場人物紹介はこちら。
※登場人物紹介はネタバレを含みます。本編を読了後の閲覧を推奨します。
独立してるので前作読んで無くても大丈夫！ キャストが違いますが。
男数人が集まって喋ってるだけです。それだけなのに非常にわかりにくいです。一回読んでも多分よくわかんないです。おんなのこ全然出てきません。
年内に済ませようと思って少々急ぎました。
ご感想お待ちしております。誤字脱字等はコメント欄にてお知らせください。その他何かございましたらこちらへお願いします。
本作にはアンケートが作成されています。分析のため、たくさんの回答をお待ちしております。(50個くらい…欲しいなァ…)→アンケートへ
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本作は枢町草葉荘シリーズの2作目です。登場人物紹介はこちら。※登場人物紹介はネタバレを含みます。本編を読了後の閲覧を推奨します。
独立してるので前作読んで無くても大丈夫！ キャストが違いますが。
男数人が集まって喋ってるだけです。それだけなのに非常にわかりにくいです。一回読んでも多分よくわかんないです。おんなのこ全然出てきません。
年内に済ませようと思って少々急ぎました。
ご感想お待ちしております。誤字脱字等はコメント欄にてお知らせください。その他何かございましたらこちらへお願いします。
本作にはアンケートが作成されています。分析のため、たくさんの回答をお待ちしております。(50個くらい…欲しいなァ…)→アンケートへ
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部屋は朝の空気に晒されて、ほんのり冷たかった。しばし虚ろな目で天井を眺めていたマコトは、朝だということにやっと気がついて、のそりと起き上がり、大きく欠伸をした。
隣に敷かれた布団から、赤茶色の頭が覗いている。マコトは半纏を身にまとい、布団から抜け出て、その頭を踏まないようにしながら、静かに襖を開けて隣の部屋から縁側に出た。
「……わあお」
思わず声をあげてしまった。昨晩まで深緑で埋まっていた広い庭が、薄闇に白く光っていた。起き抜けの眼には少し眩しい。それに、美しい。空気は澄んでおり、肺を刺すようだった。
裸足のまま地面に降り立ち、雪を両手にすくい取って眺める。冷たい。綺麗なところを口に含んで舌の上で溶かす。味はなかった。
「………………」
風が髪を撫でて通り過ぎて行く。りん、と鈴の音。
左手を流し目で見ると、狐の面をつけた和服の男がいた。自分と同じくらいの背だが、着物の裾から伸びた足首が、足袋越しにも骨ばっているのがわかる。いいものを食べられていないのだろうか。かわいそうに、寒そうだ。
まばたきをして口を開く。
「今夜は年越し蕎麦と鍋の予定だよ、目隠しさん。たらふく食べていってくれ」
吸い込んだ空気が喉に引っかかって、咳き込む。狐面は静かに
「ただいま」
と言った。
「おかえり。ご主人は？」
訊くと、半身を捻り、後方を指さす。狐面の傍に寄り、脇から覗く。
艶の良い『真っ白な』髪の少年が、裏のちいさな竹の戸を押し開いてこちらに来る。目尻を下げ、弟を慈しむような微笑みをたたえている。それは、十ほどに見えるその容姿にしては酷く大人びており、あまり似つかわしくはない。
雪を踏みしめ、彼は片手を上げた。
「やあ、マコト。寒いね」
「お久しぶり」
「ああ、本当に。今年もほとんど帰って来られなかったよ、すまなかった」
「まあそう気に病まないで。仕方無い」
あまり顔色が良くない。憂うような表情を目元に浮かべた彼に告げ、歩み寄って、そのちいさな体躯を抱きすくめる。脇に手を通し、細く骨ばった背中を押しつぶすくらいきつく腕に力を込めて、肩に顔を埋める。
彼がひゅっと息をする。
徐々に体の力が抜けて行くのと同時に、抱きしめた肩がしっかりとした厚みに変わるのを感じた。
顔を上げると、全体的に先ほどよりもふっくらとした、十代後半ほどに見える彼が、目前に微笑んでいるのが見えた。
「………………」
頭を抱えられながらその場にゆっくりとへたり込む。硬い左手が頬を伝い、背中を支える。
「だいじょうぶか」
訊く、その声は低く麗らかで、先ほどまでの幼く拙いものでは無くなっている。
「あー……うん。大丈夫」
「すまない、加減がわからないんだ」
「いや、いいよ。大分無理してたでしょ」
覗き込んでくる顔は、子供の影を残しつつも大人びて、穏やかではあるものの、また少し精悍になったように見えた。よたよたしながら縁側に腰掛け、一息ついてにっこりと笑う。
「まだみんな起きていないんだ」
「だからこんなに静かなんだね。もう少し時間を潰してこようか」
「いいのいいの。御二方、中へどうぞ」
白髪の彼は、年上らしく心配そうに眉尻を下げてから、狐面を振り返った。
「お前はそこから上がらせてもらえ。ぼくは玄関から行こう」
「うん」
「ありがとう、マコト。お邪魔するよ」
「邪魔するなんて硬いこと言わないでさ」
「……そうだね。ただいま」
「おかえり」
白髪の彼が裏口から出て行くのを見届けて、狐面はマコトの頭を撫でた。重かった体がふっと軽くなる。
「……目隠しさんの治癒のチカラが、ご主人相手にも使えたらいいのにね」
「それも、そうだな。だが、あの人は俺やお前たちと種類が違うから、波長が合わないんだ」
「なるほど。……じゃあ何で、俺はご主人にチカラを分けてやれんの？」
「さあ」
くっくっと笑い、声と同じく仮面の下でもきっと無表情の彼に目を細める。
面に手を伸ばすと、すっと身を引かれた。
「駄目？」
「駄目」
「上がって」
縁側に座って草履を脱いだ狐面からそれを受け取って、二人で玄関へ向かう。ひやりとする廊下をしずしずと歩いて、着いたら、ちょうど白髪の彼がからりと戸を開けて、入ってきたところだった。
「あれ、開いてた？」
「『ぼくの家』だからね」
「あっ、そうか……」
この家には結界が張ってある。主に、この家のものでないものを侵入させないため。ご主人は『こちら側』の人間だ。
「今年はいろいろなことがあった。ぼくの無能さも無力さもよくわかった。その代わりに、仲間や友の大切さ、師の有り難さも、よくわかった。良い年だった」
「そう。それはよかった」
マコトは狐面の脱いだ草履と白髪の彼の下駄を隣り合わせで置いて、二人を連れていつもの部屋に向かった。あの部屋は、いつ二人が帰ってきても良いように、掃除がしてある。
「あ、ご主人！」
突然廊下の角から赤いものが飛び出してきて、白髪の彼にぶつかった。彼は上ずった声をあげて廊下に尻餅をついた。先を歩いていたマコトはその大声にぎょっとして振り返り、
「何してんだ」
と小さく怒鳴る。
「いいよ、マコト。相変わらず元気だね、魁は」
「これだけが取り柄ですからね。お久しぶりです。あれ、今日は女性(にょしょう)の姿じゃないんだ。まあ飯でも食ったら元気になるでしょ。いつもの部屋？ 夜行ってもいい？」
「騒がないならいいよ」
「じゃあ後で三人分布団持って行きますから！ 朝飯は多分鮭ですよ。今夜は鍋もあるらしいからたらふく食ってって。じゃっ、俺電球の取り替え頼まれてるんでまた後で」
「ありがとう、よろしく」
「マコト、飯二人分追加って響に頼んどくから」
「はいはい」
マコトがしっしっと手を振り、追い払う仕草をする。魁はむっとして睨みをきかせつつも、白髪の彼の手前、いつものようにつかみかかっては来ずに、梯子を抱えて廊下の奥に消えて行った。
白髪の彼はしばし呆然として、口元を隠し、嬉しそうに笑った。
「よく喋るもんだ」
「ああ。うるさいのなんのって」
「大分、怨念が消えたね。以前は山犬のように痩せて目つきも悪かったのに、すっかりこ綺麗になってしまって。お前の世話の仕方が良かったんだろう？」
「俺はなんもしてないよ。単純なもんだ、結局、ちゃんと飯食って働いて寝るのが一番いい。ここじゃ携帯電話は使えないし、遊ぼうと思ったら遊び相手がいるし、手の空いている奴から、誰かに何かを頼まれる。暇もそこまでない。暇を持て余すから妙なことを考え、悩んで疲れるのに、どうしてわざわざ暇を作るんだろうな。暇だと思うなら、掃除でもしていれば良いのに」
「おや、あのマコトがぼくの知らないうちに一丁前の口を聞くようになった」
「いやいや、ご主人には敵わないよ」
「ぼくはもう駄目だ。この通り。こいつにも世話をかけてばかりだし。なあ？」
話を振られた狐面は首を横に振った。
「ぼくが一番手がかかるだろうにね、こいつは、文句も言わずに付き合ってくれるんだ。こういう奴を嫁にもらうといい」
「もはや奥さん扱いか」
「もう少し愛嬌が欲しいところだけどね」
笑いながら歩いていたら、廊下の一番端の部屋に着いた。襖を引く。ここは十畳ほどの広さがあり、床の間に富士の掛け軸がかけられている、一番狭い部屋だ。いつも、ここに彼らは泊まっていく。
「最近の響は皆に鮭を焼くのか？」
「たまにね。機嫌がいい時に」
「今この家にはどのくらい『食べ物が必要な者』がいる？ 増えただろう」
「純粋な人間はざっと１クラス分くらいかな。人型もちらほら。それ以外で食べる奴は、適当にとっていく」
「それはそれは。食費がかさんでいるだろう」
「米と野菜は作ってるから困らないけど、肉魚卵がね。魚は交換してもらうこともあるけど、肉と卵は貴重。麦が最大の収入源だ」
本当にたまーに帰ってくるちゃらんぽらんの大人どもが酒や旬の食べ物を持ってくるが、何せ安定はしていないので、それを頼りにすることはできない。計画を立てて食べ物を保存している谷口響と六川裕羅は、本当に化け物だ。
雨戸を開け、外を見てみると、日の光が出てき出していた。
「溶けるかな。優に見せてやろうと思ってたのに」
「どうせまた降るさ」
「それもそうだな」
眩しい光に目が眩む。きつね色に焼かれた空は美しく、風は冷たく、清々しい。枢町は、朝を迎えようとしていた。
「世話になるよ」
柔らかく言う白髪の彼。この人も、随分と落ち着いたものだ。
マコトは頷く代わりに、小さく微笑んだ。
続編→【オリジナル】絞首(1)
隣に敷かれた布団から、赤茶色の頭が覗いている。マコトは半纏を身にまとい、布団から抜け出て、その頭を踏まないようにしながら、静かに襖を開けて隣の部屋から縁側に出た。
「……わあお」
思わず声をあげてしまった。昨晩まで深緑で埋まっていた広い庭が、薄闇に白く光っていた。起き抜けの眼には少し眩しい。それに、美しい。空気は澄んでおり、肺を刺すようだった。
裸足のまま地面に降り立ち、雪を両手にすくい取って眺める。冷たい。綺麗なところを口に含んで舌の上で溶かす。味はなかった。
「………………」
風が髪を撫でて通り過ぎて行く。りん、と鈴の音。
左手を流し目で見ると、狐の面をつけた和服の男がいた。自分と同じくらいの背だが、着物の裾から伸びた足首が、足袋越しにも骨ばっているのがわかる。いいものを食べられていないのだろうか。かわいそうに、寒そうだ。
まばたきをして口を開く。
「今夜は年越し蕎麦と鍋の予定だよ、目隠しさん。たらふく食べていってくれ」
吸い込んだ空気が喉に引っかかって、咳き込む。狐面は静かに
「ただいま」
と言った。
「おかえり。ご主人は？」
訊くと、半身を捻り、後方を指さす。狐面の傍に寄り、脇から覗く。
艶の良い『真っ白な』髪の少年が、裏のちいさな竹の戸を押し開いてこちらに来る。目尻を下げ、弟を慈しむような微笑みをたたえている。それは、十ほどに見えるその容姿にしては酷く大人びており、あまり似つかわしくはない。
雪を踏みしめ、彼は片手を上げた。
「やあ、マコト。寒いね」
「お久しぶり」
「ああ、本当に。今年もほとんど帰って来られなかったよ、すまなかった」
「まあそう気に病まないで。仕方無い」
あまり顔色が良くない。憂うような表情を目元に浮かべた彼に告げ、歩み寄って、そのちいさな体躯を抱きすくめる。脇に手を通し、細く骨ばった背中を押しつぶすくらいきつく腕に力を込めて、肩に顔を埋める。
彼がひゅっと息をする。
徐々に体の力が抜けて行くのと同時に、抱きしめた肩がしっかりとした厚みに変わるのを感じた。
顔を上げると、全体的に先ほどよりもふっくらとした、十代後半ほどに見える彼が、目前に微笑んでいるのが見えた。
「………………」
頭を抱えられながらその場にゆっくりとへたり込む。硬い左手が頬を伝い、背中を支える。
「だいじょうぶか」
訊く、その声は低く麗らかで、先ほどまでの幼く拙いものでは無くなっている。
「あー……うん。大丈夫」
「すまない、加減がわからないんだ」
「いや、いいよ。大分無理してたでしょ」
覗き込んでくる顔は、子供の影を残しつつも大人びて、穏やかではあるものの、また少し精悍になったように見えた。よたよたしながら縁側に腰掛け、一息ついてにっこりと笑う。
「まだみんな起きていないんだ」
「だからこんなに静かなんだね。もう少し時間を潰してこようか」
「いいのいいの。御二方、中へどうぞ」
白髪の彼は、年上らしく心配そうに眉尻を下げてから、狐面を振り返った。
「お前はそこから上がらせてもらえ。ぼくは玄関から行こう」
「うん」
「ありがとう、マコト。お邪魔するよ」
「邪魔するなんて硬いこと言わないでさ」
「……そうだね。ただいま」
「おかえり」
白髪の彼が裏口から出て行くのを見届けて、狐面はマコトの頭を撫でた。重かった体がふっと軽くなる。
「……目隠しさんの治癒のチカラが、ご主人相手にも使えたらいいのにね」
「それも、そうだな。だが、あの人は俺やお前たちと種類が違うから、波長が合わないんだ」
「なるほど。……じゃあ何で、俺はご主人にチカラを分けてやれんの？」
「さあ」
くっくっと笑い、声と同じく仮面の下でもきっと無表情の彼に目を細める。
面に手を伸ばすと、すっと身を引かれた。
「駄目？」
「駄目」
「上がって」
縁側に座って草履を脱いだ狐面からそれを受け取って、二人で玄関へ向かう。ひやりとする廊下をしずしずと歩いて、着いたら、ちょうど白髪の彼がからりと戸を開けて、入ってきたところだった。
「あれ、開いてた？」
「『ぼくの家』だからね」
「あっ、そうか……」
この家には結界が張ってある。主に、この家のものでないものを侵入させないため。ご主人は『こちら側』の人間だ。
「今年はいろいろなことがあった。ぼくの無能さも無力さもよくわかった。その代わりに、仲間や友の大切さ、師の有り難さも、よくわかった。良い年だった」
「そう。それはよかった」
マコトは狐面の脱いだ草履と白髪の彼の下駄を隣り合わせで置いて、二人を連れていつもの部屋に向かった。あの部屋は、いつ二人が帰ってきても良いように、掃除がしてある。
「あ、ご主人！」
突然廊下の角から赤いものが飛び出してきて、白髪の彼にぶつかった。彼は上ずった声をあげて廊下に尻餅をついた。先を歩いていたマコトはその大声にぎょっとして振り返り、
「何してんだ」
と小さく怒鳴る。
「いいよ、マコト。相変わらず元気だね、魁は」
「これだけが取り柄ですからね。お久しぶりです。あれ、今日は女性(にょしょう)の姿じゃないんだ。まあ飯でも食ったら元気になるでしょ。いつもの部屋？ 夜行ってもいい？」
「騒がないならいいよ」
「じゃあ後で三人分布団持って行きますから！ 朝飯は多分鮭ですよ。今夜は鍋もあるらしいからたらふく食ってって。じゃっ、俺電球の取り替え頼まれてるんでまた後で」
「ありがとう、よろしく」
「マコト、飯二人分追加って響に頼んどくから」
「はいはい」
マコトがしっしっと手を振り、追い払う仕草をする。魁はむっとして睨みをきかせつつも、白髪の彼の手前、いつものようにつかみかかっては来ずに、梯子を抱えて廊下の奥に消えて行った。
白髪の彼はしばし呆然として、口元を隠し、嬉しそうに笑った。
「よく喋るもんだ」
「ああ。うるさいのなんのって」
「大分、怨念が消えたね。以前は山犬のように痩せて目つきも悪かったのに、すっかりこ綺麗になってしまって。お前の世話の仕方が良かったんだろう？」
「俺はなんもしてないよ。単純なもんだ、結局、ちゃんと飯食って働いて寝るのが一番いい。ここじゃ携帯電話は使えないし、遊ぼうと思ったら遊び相手がいるし、手の空いている奴から、誰かに何かを頼まれる。暇もそこまでない。暇を持て余すから妙なことを考え、悩んで疲れるのに、どうしてわざわざ暇を作るんだろうな。暇だと思うなら、掃除でもしていれば良いのに」
「おや、あのマコトがぼくの知らないうちに一丁前の口を聞くようになった」
「いやいや、ご主人には敵わないよ」
「ぼくはもう駄目だ。この通り。こいつにも世話をかけてばかりだし。なあ？」
話を振られた狐面は首を横に振った。
「ぼくが一番手がかかるだろうにね、こいつは、文句も言わずに付き合ってくれるんだ。こういう奴を嫁にもらうといい」
「もはや奥さん扱いか」
「もう少し愛嬌が欲しいところだけどね」
笑いながら歩いていたら、廊下の一番端の部屋に着いた。襖を引く。ここは十畳ほどの広さがあり、床の間に富士の掛け軸がかけられている、一番狭い部屋だ。いつも、ここに彼らは泊まっていく。
「最近の響は皆に鮭を焼くのか？」
「たまにね。機嫌がいい時に」
「今この家にはどのくらい『食べ物が必要な者』がいる？ 増えただろう」
「純粋な人間はざっと１クラス分くらいかな。人型もちらほら。それ以外で食べる奴は、適当にとっていく」
「それはそれは。食費がかさんでいるだろう」
「米と野菜は作ってるから困らないけど、肉魚卵がね。魚は交換してもらうこともあるけど、肉と卵は貴重。麦が最大の収入源だ」
本当にたまーに帰ってくるちゃらんぽらんの大人どもが酒や旬の食べ物を持ってくるが、何せ安定はしていないので、それを頼りにすることはできない。計画を立てて食べ物を保存している谷口響と六川裕羅は、本当に化け物だ。
雨戸を開け、外を見てみると、日の光が出てき出していた。
「溶けるかな。優に見せてやろうと思ってたのに」
「どうせまた降るさ」
「それもそうだな」
眩しい光に目が眩む。きつね色に焼かれた空は美しく、風は冷たく、清々しい。枢町は、朝を迎えようとしていた。
「世話になるよ」
柔らかく言う白髪の彼。この人も、随分と落ち着いたものだ。
マコトは頷く代わりに、小さく微笑んだ。
続編→【オリジナル】絞首(1)
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漆原 真(プロフ) - 暁さん» ご協力ありがとうございます！ (2016年11月2日 18時) (
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暁 - 行数を数えられず申し訳ないのですが、マコトの台詞「ご主人には叶わないよ」ではなく、「敵わないよ」ではないでしょうか (2016年11月2日 18時) (レス) id: 08652875f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：漆原 真 | 作成日時：2014年12月31日 13時
