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彼女は両親からの愛を知りません。
でも、愛し合うと言うのがどんなものかはよく知っています。
彼女の両親が、いつも愛し合っているからです。
幼い彼女は、互いに愛し合う両親を見ているのが好きでした。
二人を見ていると、何だか幸せになるのです。
彼女は、いつか両親と同じ様に愛し合ってみたいと思っていました。
そのいつかを夢見て、彼女は毎日のように本を読みながら妄想を繰り広げていました。
そして彼女は成長し、小学生になりました。
学校での生活は良いものではありませんでした。
彼女は、あまり他人と話すのが得意ではありませんでした。
何時も本を読んでボーッとしていました。
周りから見れば其は気に入らなかったのでしょう。
二年生になって、皆は彼女を無視するようになりました。
彼女が誰かに話しかけても、皆無反応です。
授業でペアを作るときも、誰もなってくれません。
でも、彼女はあまり気にしませんでした。
三年生になって、ちらほらと悪口を言ってくる人が出てきました。
彼女は悪口を聞いて、やっと少しずつ他人と話す事等を頑張ります。
でもうまくいきませんでした。
彼女はずっと頑張っていました。
三年生になって、彼女は頑張ることをまだ続けていました。
でも皆空回りしてしまいます。
周りから見れば、頑張っているなんて解らず、其はとても不快に見えました。
だから、一寸足を引っ掻けてみたり、道でわざとぶつかってみたりしました。
彼女は、其れが自分がのろまなせいだと思っていました。
気付かないで、まだ頑張っていました。
四年生になって、漸く彼女は頑張っても無駄だと気付きました。
そして、頑張ることをやめました。
でも、この頃からは、もう気に入らないかどうかなんて周りは考えておらず、ただストレスの発散やいじめたいからと言う理由で彼女をいじめていました。
靴に画鋲を仕込んだり、机に落書きして、机の中には園芸委員だった彼女の育てていた花をむしって突っ込みました。
彼女は事の重大さに気付きました。
五年生になって、彼女はいじめを親に打ち明けました。
でも、両親はちっとも聞いてくれませんでした。
彼女の事なんてどうでもいいと、そんな事より今日のご飯は何にしようか、なんて二人で話し始めました。
彼女は、目の前に居るのが誰なのかわからなくなりました。
彼女にとって幸せの象徴であった両親が、不幸せな苛めに対して、とても辛かった物に対して、そんな事と言い張ったのが信じられなかったのです。
彼女は今迄の人生で初めて、両親が好きじゃなくなりました。
六年生になる年、彼女の両親は海外に行くことになりました。
ぎるど、という、両親が働いている組織の一番偉い人が呼んでいるそうです。
両親は何故かとても怖がっていました。
最初、彼女は連れて行かないことになっていましたが、母親が泣いて父親と何かを話した後、急に一緒に行く事になりました。
良く解らなかったけど、今迄ずっと本の中でしか知れなかった国の外。
興味が湧くのも当然のことでした。
彼女は、学校を休んで外国に行きました。
初めての海外はとても魅力的で、輝かしい場所でした。
外国の景色に魅了されていた彼女は、両親と一緒に、ぎるどのあじと、という所に行きました。
両親は一番偉い人の部屋に彼女を置いて入り、
暫く話していました。
彼女は両親に買って貰った外国の本を読んで待っていました。
その本の内容は、誘拐され売られてしまった子供が売られた先で家出して一寸した冒険をするというものです。
とても面白い本で、時間を忘れて読みふけっていました。
半分ほど読み終わったとき、彼女は両親に呼ばれて部屋に入りました。
一番偉い人の部屋は、とても広く、豪華でした。
彼女が驚いていると、その人は言いました。
売るのはこの娘で間違いないのか？と。
売る。その言葉の意味が一瞬解りませんでした。
でも、さっき読んでいた本の内容を思いだし、自分は売られてしまうのか、と少し悲しくなりました。
この人が酷いヒトだったらどうしよう、と思いました。
不思議と両親から離れたくないとはおもいませんでした。
その人は彼女の前に屈み、問いました。
君は、この二人ともう二度と会えなくなる。
君は売られてしまったんだ。その本の主人公のようにな。
だが君はいいのか？
君が嫌だというなら、君が売られるという話は無かった事になるかもしれないぞ。
さあ、どうする？
彼女は、この人が悪いヒトではないと感じました。
だから、決めました。
普通の人ならもっともっと悩むかもしれませんが、
彼女はもう両親が好きではありません。
だから。
"ぼくは…、フィッツジェラルドさんの所に行きたいですっ！！"
彼女は、売られる事にしました。
そして、両親は彼女と組合のもとから消えました。
あれから、フィッツジェラルドさんは奥さんと娘さんの事を話してくれました。
娘さんは一寸だけ彼女に似ているそうです。
彼女は自由に育ちました。
先輩が出来ました。
後輩が出来ました。
友達も沢山出来ました。
色んな事を教わりました。
本を読んで様々な知識を身に付けました。
いろんな国に行きました。
組合の仕事は楽しいです。
沢山笑って、沢山泣きました。
.
.
ぼくは…今、とぉっても幸せです。
でも、愛し合うと言うのがどんなものかはよく知っています。
彼女の両親が、いつも愛し合っているからです。
幼い彼女は、互いに愛し合う両親を見ているのが好きでした。
二人を見ていると、何だか幸せになるのです。
彼女は、いつか両親と同じ様に愛し合ってみたいと思っていました。
そのいつかを夢見て、彼女は毎日のように本を読みながら妄想を繰り広げていました。
そして彼女は成長し、小学生になりました。
学校での生活は良いものではありませんでした。
彼女は、あまり他人と話すのが得意ではありませんでした。
何時も本を読んでボーッとしていました。
周りから見れば其は気に入らなかったのでしょう。
二年生になって、皆は彼女を無視するようになりました。
彼女が誰かに話しかけても、皆無反応です。
授業でペアを作るときも、誰もなってくれません。
でも、彼女はあまり気にしませんでした。
三年生になって、ちらほらと悪口を言ってくる人が出てきました。
彼女は悪口を聞いて、やっと少しずつ他人と話す事等を頑張ります。
でもうまくいきませんでした。
彼女はずっと頑張っていました。
三年生になって、彼女は頑張ることをまだ続けていました。
でも皆空回りしてしまいます。
周りから見れば、頑張っているなんて解らず、其はとても不快に見えました。
だから、一寸足を引っ掻けてみたり、道でわざとぶつかってみたりしました。
彼女は、其れが自分がのろまなせいだと思っていました。
気付かないで、まだ頑張っていました。
四年生になって、漸く彼女は頑張っても無駄だと気付きました。
そして、頑張ることをやめました。
でも、この頃からは、もう気に入らないかどうかなんて周りは考えておらず、ただストレスの発散やいじめたいからと言う理由で彼女をいじめていました。
靴に画鋲を仕込んだり、机に落書きして、机の中には園芸委員だった彼女の育てていた花をむしって突っ込みました。
彼女は事の重大さに気付きました。
五年生になって、彼女はいじめを親に打ち明けました。
でも、両親はちっとも聞いてくれませんでした。
彼女の事なんてどうでもいいと、そんな事より今日のご飯は何にしようか、なんて二人で話し始めました。
彼女は、目の前に居るのが誰なのかわからなくなりました。
彼女にとって幸せの象徴であった両親が、不幸せな苛めに対して、とても辛かった物に対して、そんな事と言い張ったのが信じられなかったのです。
彼女は今迄の人生で初めて、両親が好きじゃなくなりました。
六年生になる年、彼女の両親は海外に行くことになりました。
ぎるど、という、両親が働いている組織の一番偉い人が呼んでいるそうです。
両親は何故かとても怖がっていました。
最初、彼女は連れて行かないことになっていましたが、母親が泣いて父親と何かを話した後、急に一緒に行く事になりました。
良く解らなかったけど、今迄ずっと本の中でしか知れなかった国の外。
興味が湧くのも当然のことでした。
彼女は、学校を休んで外国に行きました。
初めての海外はとても魅力的で、輝かしい場所でした。
外国の景色に魅了されていた彼女は、両親と一緒に、ぎるどのあじと、という所に行きました。
両親は一番偉い人の部屋に彼女を置いて入り、
暫く話していました。
彼女は両親に買って貰った外国の本を読んで待っていました。
その本の内容は、誘拐され売られてしまった子供が売られた先で家出して一寸した冒険をするというものです。
とても面白い本で、時間を忘れて読みふけっていました。
半分ほど読み終わったとき、彼女は両親に呼ばれて部屋に入りました。
一番偉い人の部屋は、とても広く、豪華でした。
彼女が驚いていると、その人は言いました。
売るのはこの娘で間違いないのか？と。
売る。その言葉の意味が一瞬解りませんでした。
でも、さっき読んでいた本の内容を思いだし、自分は売られてしまうのか、と少し悲しくなりました。
この人が酷いヒトだったらどうしよう、と思いました。
不思議と両親から離れたくないとはおもいませんでした。
その人は彼女の前に屈み、問いました。
君は、この二人ともう二度と会えなくなる。
君は売られてしまったんだ。その本の主人公のようにな。
だが君はいいのか？
君が嫌だというなら、君が売られるという話は無かった事になるかもしれないぞ。
さあ、どうする？
彼女は、この人が悪いヒトではないと感じました。
だから、決めました。
普通の人ならもっともっと悩むかもしれませんが、
彼女はもう両親が好きではありません。
だから。
"ぼくは…、フィッツジェラルドさんの所に行きたいですっ！！"
彼女は、売られる事にしました。
そして、両親は彼女と組合のもとから消えました。
あれから、フィッツジェラルドさんは奥さんと娘さんの事を話してくれました。
娘さんは一寸だけ彼女に似ているそうです。
彼女は自由に育ちました。
先輩が出来ました。
後輩が出来ました。
友達も沢山出来ました。
色んな事を教わりました。
本を読んで様々な知識を身に付けました。
いろんな国に行きました。
組合の仕事は楽しいです。
沢山笑って、沢山泣きました。
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ぼくは…今、とぉっても幸せです。
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作者名：すずきーだくん | 作成日時：2019年7月19日 22時
