検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:192 hit
File.102
桜と、判官様

――――・――――・――――・――――
本家様はこちら
サークルコードは774

ホラー要素薄め
元ネタは「判官さま」で調べると出てくるはずの彼
【名称】
雪桜の陰に




【怪異の登場する噂話】
場所は■■■の■■市■■区に存在する■■公園。桜や紅葉の名所として知られている広大な自然公園である。
約80年前から、同公園周辺で噂されている。
要約すると、桜が咲くはずのない時期に満開の桜の巨木が忽然と現れる、ということである。


同公園によく来るという近隣住民らへの聞き取りの結果を以下に示す。
・出現時期は冬場から春先。雪の降った日に目撃証言が集中している
・人が多い時には発生しない
・公園の林道を歩いていると、急に満開の桜が現れる
・最古の目撃情報は1939年のもの。証言者の父が残した日記にこの怪異の記述があった
・男の声が聞こえることもある。2件のみではあるが、和装の男の姿を見たという証言もある
・男を目撃した証言者は皆、その男が「判官様」であると主張した


また、同公園ではサークルメンバーの死亡例が9件挙げられている。(筆者の伯父・久米●●教授も含まれる)
尚、四分であった●●教授は当時、「魂喰らひ」という怪異の調査を行っていたが、レポート作成を前にして、同公園にて心臓発作により死亡しているのが発見された。




【調査方法】
該当時期に現地調査を行い、怪異との遭遇を狙う。
危険性の高い「魂喰らひ」との関係性が疑われるため、四部の▲▲氏との合同調査とする。




【怪異の外見】
「雪桜の陰に」は主に以下の2つから構成される怪異である。

1.桜の結界
巨大な桜の木を中心とした、小さな異空間。正確な範囲は不明。
桜の品種はソメイヨシノと推定される。
出現の際は必ず満開の状態。結界内にいる間は、常に桜吹雪が舞っている。
大きさは目測で、樹高約30m、直径約4m。通常のソメイヨシノにはありえない大きさである。

2.判官様(4月16日追記)
桜の結界の中で、桜の陰に立っている存在。人間型。
5、60代ごろと思われる男性の外見。
背は高く、比較的筋肉質。胸元まで伸びた長い顎ひげが特徴である。
首を一周する、細い線状のアザがある。
服装は黒の紋付袴。2本の刀を携えている。




【怪異の特性】
前述の通り、「突然現れる」ことが最大の異常性として挙げられる。
現れる場所、時刻はランダムであり、予測は不可能。出現の予兆も存在しない。
雪が降っていること、少人数であることが条件であるようだ。(例外あり、後述)



調査は2月3日から3月7日まで行ったが、接触できたのは最終日3月7日のみ。
当日の様子は以下の通りである。

――――
9時ごろから雪が降り始めた。

13時、▲▲氏、林道にて調査中に死亡。死因は心臓発作。

▲▲氏は数年前の怪異(File.084参照)の呪いとみられる黒い靄に包まれていたが、直後、桜吹雪が靄を吹き飛ばした。
風上を見ると、すぐ近くに巨大な満開の桜の木が出現していた。
周囲の地形が微妙に変化していたことから、桜の結界に入り込んだと推測する。
この時、携帯電話は圏外となっていた。


約数十秒後、初老の男らしき声が聞こえ始める。姿は確認できず。
「彼」とは対談が可能であったため、その結果得られた情報を以下にまとめる。
・桜の結界は、彼が創り出したものである
・彼は「判官様」と呼ばれる存在であり、普段は■■公園の近くの■■神社で過ごしている
・人間に対する害意はない。人間の営みを眺めることを好む
・ごく短時間、数人を桜の結界に誘い込む程度の力しか持たない
・元は人間であり、死後に上記の神社に祀られ、神格を得た

また、「魂喰らひ」とは無関係の存在であるとした上で、4月13日にもう一度会いに来れば、有益な情報を与えることができるかもしれないと告げた。
4月13日を含め、雪が降らなくとも桜の結界を開ける日があるようだが、今回は聞き出せなかった。


対話を続行しようとしたが、これ以上の滞在は力が足りないため不可能であると彼は告げた。
数秒後、桜は忽然と消え去り、筆者と▲▲氏の遺体は、もとの林道に戻っていた。
――――

後日、結界内において撮った写真を確認したが、データが破損していた。
桜の結界内においては、電子機器による記録は不可能であるようだ。




【怪異の対処法】
「判官様」は人間に害意がなく、むしろ好意を抱いている様子である。
加えて、怪異は長くても10分程度であり、人間に実害を与える力もない。
ただ突然桜が現れ、稀に「判官様」が話しかけてくる。ただそれだけである。
そのため対処法は不要と判断する。

強いて言うならば、降雪時に■■公園の林道に近付かないことで遭遇は回避できる。
また、帰りたい旨を告げればあっさりと返してくれる。非常に良心的である。




【怪異の背景】
「判官様」という呼び名、彼本人の話から判断すると、彼の正体は明らかである。
この地において「判官様」と呼ばれるのは、凍れる大地を切り開いた彼に他ならない。

かつて悲劇の死を遂げた彼を悼み、彼の従者はとある神社の参道に桜を植えた。
そしてそれから数十年後、彼はその神社の末社である■■神社に祀られた。
奇しくも、1939年――最初の目撃情報と、同じ日付である。
この2つが、この怪異の誕生に関りがあることは間違いない。




【備考】
▲▲氏は怪異調査中の死亡であり、「五分の魂」による殉職と考えられる。よって、▲▲氏の五部昇格を申請する。




【感想】
●●教授の死に関わる「魂喰らひ」ではなかったことに安堵すればよいのか、手がかりを失ったことに落胆すればよいのか、何やら微妙な心持ちである。だが、歴史学者としては、先人と直接話せたことに感激している。彼の厚意に甘え、これからも定期的に接触は続けようと思う。
4月13日に再び来いとのことだが、「魂喰らひ」の情報も得ることができるかもしれない。

証拠もなく怪異の言葉を信じるのは愚かかもしれない。だが、あの清らかな空気に満ちた空間は、決して邪なものに創り出せる場所ではない。


雪原に咲く、強く美しく、そして儚い花。彼は誰よりも、桜の陰が似合う。




【レポート作成者】
久米重康

【作成日】
3月18日






【追記、4月16日】
4月13日、再び■■公園にて遭遇。この日は降雪なし。
今回は武士風の初老の男性が桜の下に立っていた。容姿は前述の「判官様」に追記済み。

機嫌が良い様子であり、親しげに語りかけ、酒を勧めてきた。
前回は威厳が前面に立っていたが、表情豊かなためか、親しみやすい雰囲気だった。


数分の雑談の後、「魂喰らひ」について聞くと、怒りとも悲しみともとれる表情を見せた。
曰く、
・●●教授は「魂喰らひ」によって魂を削り取られ、死に至った
・彼を含め、魂を奪うことを拒む怪異もいる
・「魂喰らひ」のせいで「怪異は魂を奪う」という原則には逆らえない。原理は不明
・■■公園での殉職者は、他の怪異に襲われての殉職。彼は看取っただけ
・「魂喰らひ」の正体、能力、及び思惑は不明

また、彼同様、「魂喰らひ」に対抗しようとする怪異もいるが、現状は良くないとのこと。
元人間で友好的な怪異の手がかりも聞くことができた。
データベースに登録したため、各自参照されたし。



なお、酒は神社に供えられたものを持ってきたとのことだった。
銘柄は裏鍋島。非常に美味しかった。




――――・――――・――――・――――

【他の参加者の作品でのキャラクター使用の可否】
ご自由にどうぞ


【製作者】
李代

ホムペを作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 0.0/10 (0 票)

このホムペをお気に入り追加 登録すれば後で更新された順に見れます
設定タグ:サークルコードは774 , 3977 , オリジナル作品
この作品の元となった作品:【募集企画】サークルコードは774 怪異【 】
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような占いを簡単に作れます → 作成

作者名:李代 | 作成日時:2019年9月12日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。