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――なんで。

その疑問は今も拭えない。なぜ自分たちなのか、なぜ自分たちでなければならなかったのか。

嗤う魔術師を見据えて少年は吠える。


「ぜってぇ覚えてろ! 忘れたら承知しねぇぞ!」


これは魔術師によってその人生を狂わされた少年の物語である。


――――――――――――――――

【企画本家】
契約獣と魔術師たち

設定集に書くと下手したら数ページに渡ってしまいそうでしたので、このような形でまとめさせていただきました。

何卒ご了承下さい。
最初は体が少し痺れる程度だった。彼奴が言うには親からくすねた麻酔薬を使ったらしい。けれど、その程度で済んだのはオレが7つになるまでの話だ。

月日が経つにつれて彼奴の悪戯は少しずつエスカレートしていく。

ちょうどオレが8つになった年辺りから半年に1回、死にかけるようになった。原因は彼奴がオレにしかけた毒。親の管理が甘いのか、ほぼ毎日何かしらの毒がオレたちに振りかけられる。

そこまではよかった。まだ悪戯の範囲だったから。


彼奴がわずか12歳で魔術師になったのは親父から聞いて知った。どうも近所の医者が嬉しそうに話したらしい。まぁ、あの親父なら息子が魔術師になったら喜ぶだろうけど。なんせ一家で唯一の魔術師だからな。
それに最初の頃の彼奴はほとんど魔術を使えていなかった。だから今まで通り毒による悪戯が続けられていたのかもしれねぇ。


それが違うとようやく気付いたのはオレが10歳になった時。
この頃になると突然背後の花瓶が割れたり、本棚から本が落ちたりすることが多くなった。それだけじゃねぇ、夜中に窓をひっかく音が聞こえることも一度や二度じゃなかった。
おまけに何かいると思って振りむいても姿一つ見えやしねぇ。だからポルターガイスト現象だと思っていた。

けど実際は違った。


「ポルターガイスト現象? アッハッハ、嗤わせるねェ。それ僕の悪戯だよ」


思い切って彼奴――(ゆき)を問いただしてみたらこのざまだ。不敵な笑みを浮かべて見下ろしてくる此奴がオレよりも5つ上だということを突きつけられた気がする。当時、10歳だったオレがそれに反吐が出そうになって睨みつけると、そいつは小さく呟いた。


「楽しみにしていてよ」


オレはくるりと踵を返し、玄関を開けて自宅に入る男の背中を見送るしかなかった。その背中はとても15の餓鬼には見えねぇ。その時に垣間見せたにやりと上げた口角も悪い大人という感じだった。

それからも目に見えない獣みたいなものに突進されたり、彼奴の幻覚で苦しめられたりした。

真っ赤な空間に閉じ込められたかと思えば、黒い杭で両目を刺されたら誰だって叫ぶ。その後で幻覚だって知らされてどんだけ安堵したことか。それでもオレたち家族には"平穏な暮らし"なんてものはねぇ。あるのは彼奴の"悪戯と隣り合わせの暮らし"だ。

宿題をしていようが雨の日にお袋と室内遊戯をしていようが、彼奴はお構いなしにやって来る。そうして毒をまき散らしたり、体を切り裂かれたりする幻覚を見せつけた。その度にオレが震えるのを彼奴はただ楽しんでいた。そんなのただの恐怖でしかねぇ。

お袋が幻覚から解放されたオレをカウンセリングしてくれていなかったら、今頃壊れて死んじまってた。それぐらい彼奴の幻覚は怖い。

幻覚で見せられるものも急に感覚がおかしくなるのも。


「大丈夫よ、直樹は母さんと父さんが守るからね」


優しいお袋の言葉に何度も勇気を貰った。だから彼奴の幻覚や毒にも耐えられる。耐えるしか方法はねぇって思っていたから。いつかきっとなくなる、心の何処かでそう願っていたから。

だけどそんな淡い期待は抱くもんじゃなかった。


1年、2年と経っても彼奴の"悪戯"はなくならない。それどころか毎年酷くなってきやがる。一つ新しい毒が完成したらまずオレで試される。あの医者と薬剤師夫婦もお手上げ状態だったらしい。いくら施錠してもいつの間にか無くなっていたってんだから、彼奴のずる賢さはお墨付きなんだろう。

それでも警察が呼ばれなかったのは、あの夫婦が彼奴が更生することを信じていたせいだ。もちろん、オレたち家族も。どうも人間ってのは良い方に解釈したがるらしい。

彼奴に抱く恐怖心がオレの中でどんどん膨れ上がっているにもかかわらずそう信じていたんだからな。


そんなオレたちに転機が訪れたのは、オレが16歳を迎えた年。
この時も16を迎えた4か月後にオレは一度死にかけた。その時は彼奴のお袋――薬剤師のおばさんが心配になって来てくれたから助かることが出来た。おかげでその毒の抗体が出来たのは幸か不幸かはオレには分からねぇ。


「直樹君、うちのバカ息子がごめんなさいね。ちゃんと叱っておくから」


そう言って涙を流したおばさんをオレは責められなかった。いや、責めちゃいけねぇって思った。
だからこう言ってやったんだ。


「別に……いつものことだろ。オレ、気にしてねぇから」


おばさんはオレの言葉に余計泣いちまった。もうどうしたらいいのか分からねぇ。そういう状態だ。

それからの1ヶ月は恐ろしい程何も起きなかった。ぱったりと彼奴の"悪戯"がやんでいた。だから油断したんだと思う。


 ◇◆◇


その日、オレはたまたま学校が早く終わったから帰りに友達と遊んでいた。カラオケしたりボーリングしたり、すげぇ楽しくてつい時間を忘れていた。はたと気づいた時にはいつもなら家に帰っている時間。オレは急いで友達と別れて家路につく。


「お袋怒ってねぇと良いけど……」


妙に胸騒ぎがする。こんなこと今まで一度も感じたことがねぇ。オレは走っている間もなんだかもやもやとしていた。何か悪いことが起こりそうな気がする。それが何か分からねぇ。


「あ、あなたっ!」


ふとお袋の声が聞こえた気がした。今日は親父が早く帰って来る日。お袋の誕生日だから、家族みんなで祝おうって。だからもう家に帰っているはずだった。

早く家に帰らねぇと、そう思ってオレは家に一目散に駆ける。この声が悲劇の始まりを知らせていたなんて思いもせずに。


家が目と鼻の先になった途端、獣臭さを感じる。あの突進してきた何かの匂いだ。それが何だって匂うんだ。オレが不思議に思って走り続けていたらあり得ないものが飛び込んでくる。


「きゃあぁぁあ!!」


お袋の甲高い悲鳴。
それと共に落ちていく何か。

オレは急いで家の中に入った。嫌な予感しかしねぇ。

――そして見つけちまったんだ、お袋の変わり果てた姿を。オレはよろよろと近づいてお袋の側に座り込んだ。目の前で起きた出来事が信じられねぇ。

一体何が起きた? なんでこうなってんだ?


「あーあ、ちょッとやりすぎちゃッた」


頭上から降って来た声に頭をあげると彼奴がいた。怒られて拗ねた子供のような、悪びれもせずにたたずむ子供のような複雑な顔をして。


「どういうことだ」
「ん? あァ、ちょッと悪戯をやり過ぎちゃッてさ。もうそんな怖い顔しないでよ、直樹」
「……てめぇがやったのか!」
「僕以外に悪戯する人いる?」
「てめぇ……ふざけんな! こんな……こんな……」


オレは二の句が継げなかった。これのどこが"ちょっとやりすぎた"だ。オレの大切な家族が目の前で死んだってのに。自分が情けねぇ。ちゃんと此奴に注意していればお袋は死ななかったのに。
俯いて何も言えなくなったオレに追い討ちをかけるように彼奴は口を開いた。


「ちょッとやり過ぎただけだッて。これは事故。まァ、今の君の顔は最高に見ものだけど」


礼のその言葉でオレの中にあった"恐怖"は此奴に対する"恨み"に変わる。ギリと歯ぎしりをしてオレは思いっきり睨みつけるつもりで顔を上げた。だけど彼奴の姿はそこにはねぇ。後ろから笑い声が聞こえる。

オレが間に合わなかったのが悪い。そう言われた気がした。

その笑い声は「じゃ、またねッ」とおどけた声を残して消える。オレは咄嗟に振り返った。だが、逃げ足の速い彼奴の姿はもう見えねぇ。


「くそっくそっくそっ!」


オレは拳を床に叩きつける。彼奴の両親が駆けつけて来るまでやり続けた。警察のサイレンの音が聞こえる。近所の誰かが通報してくれたのだろう。その音を背中に受けながらオレは彼奴の消えた方角を睨みつけた。


「ぜってぇぶっ殺す!! 覚えてろ!」
―――――――――――――――

短編中に登場する魔術師の設定 (現在)
※一部改変しています

【名前】
佐藤 礼 ユキ

【性別】


【年齢】
27歳

【契約獣】
狐 (カイ)

【性格】
性根が悪い悪戯好き。國武一家に異常に執着している

【容姿】
茶髪に桃色の瞳。意地の悪い笑みを浮かべている。身長は183

【服装】
緑色の帽子を目深にかぶり、ベージュのコートを纏っている。茶色のブーツ

【印の場所】


【魔法属性】
幻覚

【魔法能力】
紅き黄昏
紅い空間の中で相手を痛めつける幻覚を見せる

狂宴
脳に直接刺激を与えて感覚を錯乱させる

【弱点】
相手が空間から脱出すれば効果がない
相手に気付かれたら効力が消える

【武器】
毒 (武器と言うより悪戯道具)

【備考】
シュッツには所属しておらず、未だに逃走中。どんな悪さも彼にとっては"悪戯"

【サンプルボイス】
「いやァ、ほんッと君らの反応見るの楽しいよ」
「アッハッハ、ただの悪戯だッての」

(こんな性悪魔術師がいて良いんだろうか……)

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作者名:日向信乃 | 作成日時:2016年5月15日 18時

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