summer

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ひと夏の恋のお話。

恋ってどんな物なんだろう。

私は恋を知らなかった。
「辛いけど、時に楽しくなる物だよ」
と、みんなは言う。

でも、それが分からなかった。
「真麻にもいつか分かる時がくるよ」
そう言われた一年前。
そして、このひと夏の間、恋を知ることになる。

私、芳村真麻！
いよいよ今日から夏休み。去年の夏は部活で全くどこも行けなかったけど、今年から顧問が変わって、少しだけ余裕が出来た。

「さあ、どこに行こうか。」

と、その時。

「真麻ー！電話よ！」
母からだった。

「分かった！誰から？」
「テニス部の理子ちゃんからよ」

「今、変わったよ～！理子どうしたの？」
「あっ、真麻ー？ちょっと聞いてよ！サッカー部に転入生来たんだよ！」
「え？超中途半端な時期になんで？」
「知らないよ～！それより、明日、午後練だっけ？」
「うん！12時30分集合ね！」
「分かった～！バイバイ！」
「バイバイ！」

ガチャッ

「転入生かあ...」
どんな感じだろうか？いい人だろうか？明日の練習、サッカー部と被れば見れるかも。ちょっと楽しみだ。

翌日の午後。

「あ、サッカー部だ！」
「あっ！いる！転入生！」

彼は身長が高くて声が低かった。
大人っぽい顔立ちで、みんなから好かれそうだった。

「モテそう...」
「ね！かっこいいしね～！」
私の周りの友達が口をそろえてモテそうと言った。

彼の名前は村上玲生。
今回の転入は、家庭の事情だと言う。想像どうりだったが、彼はそうとは思えないほど元気で明るい振る舞いだった。

「あっ！ボール！」
「はい！どうぞ。」
「あ、ありがとうございます。」

私と彼はとても仲良くなった。
みんなから公認カップルと言われるまでだった。

「よっ！カップルw」
「カップルじゃねーし！」
「顔真っ赤w」
その頃、村上は私が好きだったらしい。
私は全く気づいて無かったけど...

「あ、芳村...」
「どうしたの？」
「今度さ...」
「うん」
「花火...大会行こうか」
「うん...」

8月23日
花火大会がやって来た。
カップルがほとんどで、少し気まずい。
はあ、ちょっと気まず過ぎて帰りたいよ...
顔が赤くなる。

そんな時。村上が少しうるさいから静かな方行こうかと切り出した。

そんなうるさくないけど...逆に気まずいけど...
とりあえず承諾。

原っぱに座った。
眠くなってきちゃった。寝ようかなあ。そしたら村上がいきなり。

「今日、なんで花火大会に芳村だけを誘ったか分かる？」
「え？仲いいから...？」
「そうだと思う？」
「え？」

「俺さあ、芳村好きなんだけど...付き合ってくれたりしない？」
え？これは告白するためにわざわざ呼んだの？だとしたらすごい勇気。
とっさに出した答え。漫画とかに載ってる考えてさせて。

「ごめん、考えてさせて！」
「おう」

「そろそろ行こうか。でも、お願いがある。」

村上が手を繋いだ。

「今日、俺の誕生日。」
「だから、繋いで欲しいの？」
「うん...」

私は心の中で嬉しいと思ってた。
多分、ていうか、私は村上が好きだったんだろう。村上が他の女子と話してる時苦しかったし、告白されたときは他の人にされるより嬉しかった。だから、結果はすぐ決まった。

「村上...」
「どうしたの？」

「もう、結論出た。私も村上が好き。付き合って！」
言えたっ！

「じゃあよろしくね」
「うん！」

私の初恋は終わった。
夏が終わって、君はもういないね。
君はどこにもいないね。でも、きっと私の中にいるから。
君との思い出は消えないから。

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