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レギュラスくんが好きです。夢小説において作品によって色んなレギュラスくんがいます。例えば兄に好意的なレギュラスくん。例えば家のあり方に疑問を抱くレギュラスくん。例えば傲慢なレギュラスくん。例えば闇の帝王大好きレギュラスくん。例えば闇と光の中で板挟みなレギュラスくん。どの彼も大好きです。
とは言え人と言うのは好みがあるもの。私が好きなレギュラスくんは、家訓に忠実でそれに逆らう兄を心底憎み、そして気付かないくらい少し憧れ、誤魔化すように闇の魔術や帝王に傾倒する可哀想で高潔で、芯のあるレギュラスくんです。
だから仕方ないんです。私の作品が彼に関するものが多いなんて。仕方ないんです。彼が魅力的なのが悪い。
因みに、此処まで全て言い訳です。
レギュラスくんばっか多くてごめんなさい。
因みにこの作品のレギュラスくんは優しさが多め。
バッドエンドです。
意味のないおはなっしー。コレジャナイ感。
評価機能無しなのはコレジャナイ感のせい。取り敢えずなにもかもが意味無かったんだよって。
レギュラスくんが好きです。夢小説において作品によって色んなレギュラスくんがいます。例えば兄に好意的なレギュラスくん。例えば家のあり方に疑問を抱くレギュラスくん。例えば傲慢なレギュラスくん。例えば闇の帝王大好きレギュラスくん。例えば闇と光の中で板挟みなレギュラスくん。どの彼も大好きです。とは言え人と言うのは好みがあるもの。私が好きなレギュラスくんは、家訓に忠実でそれに逆らう兄を心底憎み、そして気付かないくらい少し憧れ、誤魔化すように闇の魔術や帝王に傾倒する可哀想で高潔で、芯のあるレギュラスくんです。
だから仕方ないんです。私の作品が彼に関するものが多いなんて。仕方ないんです。彼が魅力的なのが悪い。
因みに、此処まで全て言い訳です。
レギュラスくんばっか多くてごめんなさい。
因みにこの作品のレギュラスくんは優しさが多め。
バッドエンドです。
意味のないおはなっしー。コレジャナイ感。
評価機能無しなのはコレジャナイ感のせい。取り敢えずなにもかもが意味無かったんだよって。
*
どうやらわたしは終わるそうです。
恐らくわたしは地獄に堕ちると、天使に扮した悪魔は嗤った。醜い、皺だらけの黒々とした皮を盛大に歪めて、ひたすらに真っ赤な瞳を輝かせて嗤った。悪魔は言う。地獄で幾億年も痛みに喘ぎ、血で魂を洗い流して漸くお前は消滅出来るのだと。
――受けてやる。それくらい覚悟の上だったから。
わたしは神様に愛されていた訳じゃない。優遇されてなんてない。この世界に来たのは本当に只の偶然だろう。偶然にしてわたしが死んで、偶然にしてその魂がこの世界に呼び寄せられて、偶然にして拒絶反応が起こらず、偶然にして記憶を持ったまま転生しただけの人間だ。偶然ばかりのわたしはきっとこの世界に拒絶はされずとも嫌われている。ましてや流れを歪めたのだから当たり前だ、なんて悪魔を嗤い返せば、彼――とでも言おうか、彼は耳障りな声を轟かせた。
――気に入った。ああ、お前は確かに覚悟の上なんだろう。その豪胆さは嫌いじゃない。
――お前、おれと契約しないか。
彼曰く、再び転生させてあげるという。対価は彼が用意した人生を終えたわたしの魂。彼は悪魔だけれど、悪魔のように甘く囁いてわたしを惑わせる。掠れた老婆のような声で、痛みも苦しみも無いのだと緩やかに笑みながら。
とてもとても、甘美な誘いだった。しかも彼は記憶付きで、あの人の近くへ転生させてくれるという！ その汚ならしく腐る甘く濁った願望の中に身を沈めることが出来れば、どれ程良かったことだろうか。もう一度だけ会いたい。どうせ待つのは消滅だ。かき消えるか喰われるかの違い。痛みを知るかもう一度生きるかの違い。
本当は彼の手を取るのが、賢い選択だとは分かっていた。この先に待つのは想像も絶する激痛だろう。どうせなら苦しまない方がいいに決まっている。痛いのは嫌いだから、彼の手を取りたい。けれど、けれど。
――もう良いんです。後悔してないから、もう生きる必要もないんです。
この足は地獄へ続く道を歩いていく。流れを変えた罰を素直に受けようなどという、殊勝な心掛けはしていない。だってわたし、反省はしていないから。この先何度同じことがあろうとわたしは同じ選択を取るから。だから、購いたいなんて思ってない。
輪廻には戻れない。わたしは異物だから。もう生まれ変わりは望めない。此処で本当にわたしは死ぬ。
それでもいい。もうわたしがいなくても、彼は其処に在るから。それがいい。
わたしが地獄に堕ちるのは、もう生きる必要がないから。
――馬鹿な奴だ。一際美味しそうな魂だったのにな。
悪魔が妖しく笑ってわたしから背を向ける。最後に一度、けたたましく叫んだ。
――哀れな女に餞別だ！
暗い道に落ちたのは、赤に彩られた彼岸花。
※※※
ぴしりと何かがひび割れる音が聞こえて、振り返ると写真立の硝子部分が盛大に雷を迸らせていた。
「うわ……クリーチャーに直してもらわないと」
少しでも触れれば、絶妙な感覚で保たれている硝子のバランスが崩れてしまいそうで怖い。恐らく動かせば完全にこの写真立は壊れるだろう、そんな自信がある。ひびの入った硝子のせいで飾られた写真は見えないが、一刻も早く直してもらおう。このままでは落ち着かない。
※
「さむいさむいさむい！ レギュラス早くバタービールに行こう！」
「バタービールには行けませんよ！ ちょ、あまり強く手を引かないでってば」
積もり積もった雪を踏み散らかしながら進む。レギュラスの手は女の子よりも固い。それを出来る限りの力で引きながら急いで目的地へ走る。途中雪に躓いてこけると思った時はレギュラスがそっと身体を支えてくれた。わたしはその瞬間が大好きだから何時も慌ただしく走るのだ。
雪景色が美しい。寒いのは好き。だって寒さを理由にレギュラスに抱きつけるんだよ！
この時程家柄に感謝したことはない。
※
そう言えばあれには、なんの写真が入っていたっけ。
※
雪に足を取られて躓いた。レギュラスはわたしをこかせまいとしたのか、また力強く、繋いだ手を引いたけれど、勢いが良すぎて反動で彼の身体がよろめいた。どすん、真っ白な雪にレギュラスの身体が沈む。巻き込んでわたしも近くに沈んだ。
「うわ！」
「ふひゃあ……つ、つめた……」
「此方だって冷たいよ。あなたは急ぎ過ぎなんです！」
レギュラスが目を釣り上げて此方を向く。起き上がった彼の髪には雪が絡まっていて、威圧感が半減していた。
※
クリーチャーは相変わらず仕事が早い。
※
「えい」
ぱしゃり、持参していたカメラを素早く取り出して、彼の姿を捉える。突然のことにレギュラスは目を瞬かせて、次いで状況を理解したのかもっと怒気を膨らませた。彼の指がカメラを掴む前にわたしも起き上がって後ずさる。
「こんな時になにやってるんですか！！」
「頭に付いた雪が可愛かったんだよ」
「っ、待て！」
鬼ごっこ開始。杖を取り出したレギュラスが、雪の塊を此方に放ったせいで雪合戦も開戦した。
※
綺麗に修復された写真立に満足して、クリーチャーをそっと撫でてあげると彼は恐れ多い、なんて泣きながら喜んだ。大きな瞳を潤ませてくしゃくしゃな顔を覆うクリーチャーは今日も可愛い。
「ところで、レギュラス様……このお写真は」
※
疲れ果てて寝転ぶと、レギュラスも息を切らしながら隣へ転がった。動きすぎて先程まで死ぬくらいに寒かったのが死ぬくらいに暑くなった。汗びっしょりだ。このままでは風邪をひいてしまうことが分かっていても、触れる雪の冷たさが心地よくて此処から動こうとは思えない。
それに。
「すっごく、空が青い」
冬空が視界に広がる。青が目を焼く。隣に呟けば、わたしの声を拾ったレギュラスが同意した。
「きれい、だね」
放心したような声に、わたしはまたカメラを取り出して、ぱしゃり。
「本当は思い出作り、したかったの。二人で写ったら寂しくないよね」
本当はこんなつもりじゃなかった。勝手だと分かっていたけど、傍観だけするつもりだったのだ。こんなにも肩入れするつもりなんてなかった。
証拠が欲しい。自分は確かに此処にいて、彼と笑いあったことがあったんだよって。生憎ここに写る彼は呆けた顔だけど一緒に写ったわたしは綺麗に笑えたから大満足だ。
そんなことを思って真っ青な空を見上げた、けれど。
なにを思ったかレギュラスはわたしのカメラを奪い取って、わたしがしたようにカメラを空へ上げてわたし達を写した。正しく写ってるかは見えないからわからない。レギュラスがカウントダウンを始める。
「ほら、笑って。すりー」
「え、まって、え！？」
「つー」
「うわああああ心の準備！」
「わーん」
慌てて笑顔を作って、
「ぜろ！ ってね」
※
「どうしてお一人で写っているのですか？」
僕も、呆気に取られた。見覚えの無い写真だったからだ。
写真の中の僕は心底幸せそうな、楽しそうな顔で笑っている。写真は魔法が掛かっていないというのも不思議だ。それにこれ、隣に誰かがいるような空間が出来ていて。
「なんだろう」
※※
彼が優しいせいで、わたしは彼を救いたくなってしまった。
なんて、酷い言い訳だけど、でも救えて良かったんだって思ってる。
だってわたし、彼といた証があるから。
※※
酸素の代わりに水を吸って、肺は冷たさに支配される。
最後の最後で、指先に何かが触れたような気がしたけれど、それに気付いた頃には既に意識はない。
誰かが僕の名前を呼んでいる。
※※※
神様はいません。
地獄はありません。天国もありません。
そこにはなにもなかったのです。
どうやらわたしは終わるそうです。
恐らくわたしは地獄に堕ちると、天使に扮した悪魔は嗤った。醜い、皺だらけの黒々とした皮を盛大に歪めて、ひたすらに真っ赤な瞳を輝かせて嗤った。悪魔は言う。地獄で幾億年も痛みに喘ぎ、血で魂を洗い流して漸くお前は消滅出来るのだと。
――受けてやる。それくらい覚悟の上だったから。
わたしは神様に愛されていた訳じゃない。優遇されてなんてない。この世界に来たのは本当に只の偶然だろう。偶然にしてわたしが死んで、偶然にしてその魂がこの世界に呼び寄せられて、偶然にして拒絶反応が起こらず、偶然にして記憶を持ったまま転生しただけの人間だ。偶然ばかりのわたしはきっとこの世界に拒絶はされずとも嫌われている。ましてや流れを歪めたのだから当たり前だ、なんて悪魔を嗤い返せば、彼――とでも言おうか、彼は耳障りな声を轟かせた。
――気に入った。ああ、お前は確かに覚悟の上なんだろう。その豪胆さは嫌いじゃない。
――お前、おれと契約しないか。
彼曰く、再び転生させてあげるという。対価は彼が用意した人生を終えたわたしの魂。彼は悪魔だけれど、悪魔のように甘く囁いてわたしを惑わせる。掠れた老婆のような声で、痛みも苦しみも無いのだと緩やかに笑みながら。
とてもとても、甘美な誘いだった。しかも彼は記憶付きで、あの人の近くへ転生させてくれるという！ その汚ならしく腐る甘く濁った願望の中に身を沈めることが出来れば、どれ程良かったことだろうか。もう一度だけ会いたい。どうせ待つのは消滅だ。かき消えるか喰われるかの違い。痛みを知るかもう一度生きるかの違い。
本当は彼の手を取るのが、賢い選択だとは分かっていた。この先に待つのは想像も絶する激痛だろう。どうせなら苦しまない方がいいに決まっている。痛いのは嫌いだから、彼の手を取りたい。けれど、けれど。
――もう良いんです。後悔してないから、もう生きる必要もないんです。
この足は地獄へ続く道を歩いていく。流れを変えた罰を素直に受けようなどという、殊勝な心掛けはしていない。だってわたし、反省はしていないから。この先何度同じことがあろうとわたしは同じ選択を取るから。だから、購いたいなんて思ってない。
輪廻には戻れない。わたしは異物だから。もう生まれ変わりは望めない。此処で本当にわたしは死ぬ。
それでもいい。もうわたしがいなくても、彼は其処に在るから。それがいい。
わたしが地獄に堕ちるのは、もう生きる必要がないから。
――馬鹿な奴だ。一際美味しそうな魂だったのにな。
悪魔が妖しく笑ってわたしから背を向ける。最後に一度、けたたましく叫んだ。
――哀れな女に餞別だ！
暗い道に落ちたのは、赤に彩られた彼岸花。
※※※
ぴしりと何かがひび割れる音が聞こえて、振り返ると写真立の硝子部分が盛大に雷を迸らせていた。
「うわ……クリーチャーに直してもらわないと」
少しでも触れれば、絶妙な感覚で保たれている硝子のバランスが崩れてしまいそうで怖い。恐らく動かせば完全にこの写真立は壊れるだろう、そんな自信がある。ひびの入った硝子のせいで飾られた写真は見えないが、一刻も早く直してもらおう。このままでは落ち着かない。
※
「さむいさむいさむい！ レギュラス早くバタービールに行こう！」
「バタービールには行けませんよ！ ちょ、あまり強く手を引かないでってば」
積もり積もった雪を踏み散らかしながら進む。レギュラスの手は女の子よりも固い。それを出来る限りの力で引きながら急いで目的地へ走る。途中雪に躓いてこけると思った時はレギュラスがそっと身体を支えてくれた。わたしはその瞬間が大好きだから何時も慌ただしく走るのだ。
雪景色が美しい。寒いのは好き。だって寒さを理由にレギュラスに抱きつけるんだよ！
この時程家柄に感謝したことはない。
※
そう言えばあれには、なんの写真が入っていたっけ。
※
雪に足を取られて躓いた。レギュラスはわたしをこかせまいとしたのか、また力強く、繋いだ手を引いたけれど、勢いが良すぎて反動で彼の身体がよろめいた。どすん、真っ白な雪にレギュラスの身体が沈む。巻き込んでわたしも近くに沈んだ。
「うわ！」
「ふひゃあ……つ、つめた……」
「此方だって冷たいよ。あなたは急ぎ過ぎなんです！」
レギュラスが目を釣り上げて此方を向く。起き上がった彼の髪には雪が絡まっていて、威圧感が半減していた。
※
クリーチャーは相変わらず仕事が早い。
※
「えい」
ぱしゃり、持参していたカメラを素早く取り出して、彼の姿を捉える。突然のことにレギュラスは目を瞬かせて、次いで状況を理解したのかもっと怒気を膨らませた。彼の指がカメラを掴む前にわたしも起き上がって後ずさる。
「こんな時になにやってるんですか！！」
「頭に付いた雪が可愛かったんだよ」
「っ、待て！」
鬼ごっこ開始。杖を取り出したレギュラスが、雪の塊を此方に放ったせいで雪合戦も開戦した。
※
綺麗に修復された写真立に満足して、クリーチャーをそっと撫でてあげると彼は恐れ多い、なんて泣きながら喜んだ。大きな瞳を潤ませてくしゃくしゃな顔を覆うクリーチャーは今日も可愛い。
「ところで、レギュラス様……このお写真は」
※
疲れ果てて寝転ぶと、レギュラスも息を切らしながら隣へ転がった。動きすぎて先程まで死ぬくらいに寒かったのが死ぬくらいに暑くなった。汗びっしょりだ。このままでは風邪をひいてしまうことが分かっていても、触れる雪の冷たさが心地よくて此処から動こうとは思えない。
それに。
「すっごく、空が青い」
冬空が視界に広がる。青が目を焼く。隣に呟けば、わたしの声を拾ったレギュラスが同意した。
「きれい、だね」
放心したような声に、わたしはまたカメラを取り出して、ぱしゃり。
「本当は思い出作り、したかったの。二人で写ったら寂しくないよね」
本当はこんなつもりじゃなかった。勝手だと分かっていたけど、傍観だけするつもりだったのだ。こんなにも肩入れするつもりなんてなかった。
証拠が欲しい。自分は確かに此処にいて、彼と笑いあったことがあったんだよって。生憎ここに写る彼は呆けた顔だけど一緒に写ったわたしは綺麗に笑えたから大満足だ。
そんなことを思って真っ青な空を見上げた、けれど。
なにを思ったかレギュラスはわたしのカメラを奪い取って、わたしがしたようにカメラを空へ上げてわたし達を写した。正しく写ってるかは見えないからわからない。レギュラスがカウントダウンを始める。
「ほら、笑って。すりー」
「え、まって、え！？」
「つー」
「うわああああ心の準備！」
「わーん」
慌てて笑顔を作って、
「ぜろ！ ってね」
※
「どうしてお一人で写っているのですか？」
僕も、呆気に取られた。見覚えの無い写真だったからだ。
写真の中の僕は心底幸せそうな、楽しそうな顔で笑っている。写真は魔法が掛かっていないというのも不思議だ。それにこれ、隣に誰かがいるような空間が出来ていて。
「なんだろう」
※※
彼が優しいせいで、わたしは彼を救いたくなってしまった。
なんて、酷い言い訳だけど、でも救えて良かったんだって思ってる。
だってわたし、彼といた証があるから。
※※
酸素の代わりに水を吸って、肺は冷たさに支配される。
最後の最後で、指先に何かが触れたような気がしたけれど、それに気付いた頃には既に意識はない。
誰かが僕の名前を呼んでいる。
※※※
神様はいません。
地獄はありません。天国もありません。
そこにはなにもなかったのです。
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作者名：鈴 | 作成日時：2017年9月29日 3時
