【刀剣乱舞】Nobody knows…【日替わり】

9種類の結果パターン

Suit yourself. You should deside for yourself. - 2024年5月14日

小夜左文字
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「なんだかこのまま行くと、私って死んじゃうみたい」

夜半、審神者部屋にて、こっそりと一つの灯りが灯されていた。床に入るにはとうに過ぎたというのに、主はめかしこんで、卸たての一張羅を身に纏い、相成る小夜左文字に語っていた。

「でも私、死にたくないの。情を持つ生きとし生ける者として当然よね」

紅の塗られてない爪を憂鬱気に翳しながら審神者は宣う。
静を貫かんとしていた小夜は、逸る気持ちをわざと抑えるように、ゆっくり、緩やかに面を上げる。瞳は猛禽類のそれで、それこそ誠に、彼の刃こそを表していた。

「あなたは何に復讐を望む？」

かさついた幼い唇から投げられた問い掛けは、彼が顕著した日を彷彿とさせる。女審神者は黒い髪のベールを翻して、演じるように、噛み締めるように、大袈裟にわらった。

「私の生を拒んだモノを全てに」

怪物のようだ。我が儘で、自分勝手で、取り返しがつかない。
でも小夜左文字はそんな主を慕ってこそいないにせよ、この少女が好きである気持ちは確かだった。

「じゃあ、じゃあ！ さっさと行っちゃいましょ！ みんなに秘密で抜け出しちゃわなきゃたーいへんっ！ 私ね、ちゃんと準備したの。おにぎりも作ったし、お菓子とかジュースとか、食べ物だってバッチリなのよ！ 張り切っておめかししたけどこれは余計だったかしら……？ いや、ううん！ 勝負メイクだもの！ 別にいいわよね！」

くるくる、と、踊りながら。童女は、ちょっとした悪戯でもするように、遠足に出掛けるように、邪気なく世界を裏切ろうとしている。

「……なんだか、安心したよ」
「安心なんかしないでちょうだい！？ 小夜は、私の唯一の懐刀なんだから！ 気張ってもらわないと困るのよっ」
「そうだね、あなたはまだ一人で眠れもしないくらいだから」
「なっ……なによ、今はそういうこと言わないでくれる！？」

彼女の無邪気は触れやすい。反社会的で、道徳的でなく、とても正しいとは言えない。暗がりで生きてきた小夜左文字には、自分と同等な暗がりにしか生きどころのない彼女の無邪気が酷く心地よかった。

「僕を選んでくれて、ありがとう」

そう言えば、彼女は少し驚いた顔をして、それから、頬を緩ませた。

この復讐は上手く行かない。いずれ彼女は潰えて消える。
懐刀は確信していたが、その事実を暗黙した。


刀はわらう。


(其れは彼女も知らない心中だった。)

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