【キメツ学園】ちょっとだけ、秘密。

8種類の結果パターン

本日の結果です。 - 2024年4月26日

○元気

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「うお！？なんだお前！！」


屋上前の短い階段。
そこで小さく蹲っていた私の頭上に突如、聞き慣れた野太い声が降りかかってきた。


「………何？」

「…！？」


余りの大声にのそりと顔を上げた私。
目の前に居たのは案の定、常時シャツのボタン全開でお馴染みの嘴平伊之助だった。

そんな彼は、珍しいことに物凄く狼狽えた顔をしていて。
綺麗な翠色をした瞳は、はっきりと動揺を示していた。

それは多分、＿＿＿＿私が泣いてるから。


「ごめん、暫くここ占領するから。バイバイ」


そう言ってまた即座に丸くなり、無言の圧で退却を促す。
こんな顔をいつも元気で快活な彼の前に晒すことなど、他の誰でもない私自身が許せなかったから。


しかし、どれ程待っても目の前の気配は一向に消える様子がなくて。
むしろ近づいたような気さえする位だ。

どうしたものかと止まらない涙と共に考えを巡らせていると、今度はもっと近くから、どこか戸惑ったような声が聞こえてきた。


「な、なんだお前！どうしたんだよ、ダンゴムシみてーになりやがって。オイ、どっか痛えのか？殴られたのか？」

「…え？」


予想外の言葉に思わず顔を上げる。
ポカンとする私に、彼は更にあたふたとし始めた。


「腹が減ったのか？弁当ならさっき全部食っちまった」


困り顔で私の前にしゃがみ込んだ彼は、「紋逸か権八郎なら何か食いモン持ってるかも知れねぇな」と言って、深く頷きながら見当違いの方向へ話を進めて行く。


「伊之助、違うの」

「？パンの耳は嫌か？しょうがねーな、俺が何か獲ってきてやる！」


どうやら結論としてYOU空腹説に至ったらしく、物騒な事を言い始める彼。

勢いよく立ち上がったその裾を、私は思い切りグッと引っ張った。


「伊之助」

「あ？俺は今食いモンは持ってねぇぞ！」

「大丈夫…いいの。ホラ、もう泣いてないでしょ？」


言葉の通り、彼の慌て振りを見ている内にいつの間にか私の涙は引っ込んでいて。

「ありがとう」と言って笑いかければ、彼は引っ張られた姿のまま目を見開いて暫く静止した。


「ぉお前、何かホワホワさせんじゃねーよ！」


ハッと覚醒した次の瞬間、意味の分からない捨て台詞と共に風のように階段を駆け下りて行った彼。

…それでも、去り際に「アレだ！お前泣くなよ！」と叫んでくれた彼なりの優しさは、私だけの秘密にしておこうと思う。




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