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今日、貴方と恋をする文豪は...？ - 2024年5月15日

＿梶井基次郎(酸味強めで)＿




私は料理が得意だった。特に甘い甘い洋菓子。


だが私の職場はポートマフィア。そんな甘っちょろいことを云う暇があれば任務だ任務。




「...ぎゃーっ！！」




女とは思えない程汚い私の叫び声が建物内に響く。

ころん、と足元に転がってきたのは檸檬だ。だがこれは只の檸檬ではない。




「あ"ぁ"ぁぁぁ"あ"！！」




三秒後、更に汚い私の叫び声が響き渡った。

爆発。




...ポートマフィアに入ってから何故か彼奴、梶井と関わることが増えた。

彼奴は良い意味でも悪い意味でも熱心で、ずっと部屋に篭もりきりだということが多いから、梶井の身の回りの世話は私の役目。

だが！それについてのお礼も何もあったものでは無い。また爆破に巻き込まれたし。

徐々キレそう♡

そんな時だった。




「あ''っ！？また＿＿っ」




ころん、とまた足元に感触がした。先程巻き込まれたばかりなのに、と優しい(自称)私でも怒りは募る。

もう世話するの辞めようかな、と泣きそうになっていたが、いつまで経っても爆破は起きない。




「...ん？」




よく見ると、その檸檬は何時ものセーフティピンがついていなかった。怪訝に思い恐る恐るそれを手に取ってみる。




「...これ、本物だ」




手触りは勿論、柔らかさも果物の檸檬そのものだった。


どうしようかと考える間もなく、梶井が影からひょっこり頭を覗かせた。

お前の髪型だとひょっこ○はんなんだよ辞めろ。爆破がなかったことでおさまりそうになっていたイライラがまた湧き上がっていく。




「デザアトはまだか！？」




何時もの調子で笑う彼に、怒りを通り越して呆れる。

でも、私の洋菓子作りに自分の愛してやまない檸檬をくれるってことは、彼なりの気遣い、なのかな。




「今から作るから大人しく待っててよ！大人しく」




態と強調するように云って、檸檬を投げて、またキャッチした。




甘酸っぱい、ってよりは少し酸味強めだけど、まあこれはこれでいいかな。




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