刀剣学園のとある一日【日替わり】

6種類の結果パターン

今日の刀剣男士はこれだ！(やかましい) - 2024年5月13日

｢いったぁ……｣


不運なことに、ノートの端で人差し指を切ってしまった。


やっちゃった……

じわりと滲む赤色に唇を尖らせていると、突如物凄い勢いで肩を掴まれた。


｢ちょっとYOU！？どうしたのそれ！｣

｢ぅあ、光忠？｣

｢光忠だよ！でそれどうしたのほんとに！？｣


声を掛けられた方向に首を向けると、そこには血相を変えた光忠が立っていた。


大丈夫？痛くない？と繰り返しながら俺の肩を揺さぶる光忠に｢お前のそれの方が痛いよ｣と口走りそうになるのを我慢する。

どうやら光忠は力加減というものを知らないらしい。
軽い脳しんとう起こしそうだ、と余計なことを考えながらがくがくと揺さぶられるままに言葉を発する。


｢ちょっと切っちゃっただけだから、まず肩を離そうか光忠君｣

｢あ、ごめんね｣


ようやく自分が半端ない力で肩を揺すっていたことに気が付いた光忠は、少々気まずそうに俺の肩から手をどかした。


開放された肩から一気に力が抜ける。
明日の朝起きたら肩凝りになっているかもしれない。なんちゃって。


｢え、それでほんとに平気なの？指｣

｢全然へーき。あ、でも絆創膏は貼りたいかも｣


依然心配そうにする光忠に正直に思っていることを伝えると、
｢わかったちょっと待っててね！！！｣とやたら素早い動きで自分の席へ駆けて行く光忠。


クラスメートの視線が痛いです。騒がしくしてごめんね。


数秒もしない内に帰ってきた光忠の手には、俺が望んでいた絆創膏が握られている。


ほんと光忠は何でも持ってるなー。
前なんか男なのに裁縫道具カバンに入ってたし……


優秀な友人に感心していると、何故か怪我をしている方の人差し指を持たれた。


ん？と疑問に思ったときにはもう、光忠により俺の人差し指は絆創膏に巻かれていた。

いや、絆創膏貼るくらい自分でやれるんだけど……？

｢はい、これでおっけー！｣


いきなりの光忠の行為に唖然としてると、きらっという効果音が付きそうな程爽やかに彼は笑った。


｢……っあはは、いやいや子供じゃないんだから｣


あまりにもお母さんじみた行動に俺もつい笑みをこぼす。


きっと他の人にこんなことやられたら｢馬鹿にしてんのか｣って思うのだろうけど、光忠だから素直に喜べる。

何だかんだ言いつつ光忠に甘やかされるのが嫌じゃないことに、俺は再度笑みをこぼした。



end.

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