【鋼の錬金術師＊焔と水＊】 「私とデートに行かないか？」 in fall

5種類の結果パターン

肌寒くなってきたな。by．ロイ - 2024年5月5日

「YOU、明日のパーティーが楽しみだね」

「ええ、そうですね…って、ロイさんはパーティーじゃないですよ！」

「あ、そういえば…!!…チッ、明日はハロウィンだっていうのに…!!」

【ハロウィンパーティー】

10月31日。
世の中は、“ハロウィン”というイベントで盛り上がっている。
珍しい物好きの大総統はこの日、大きなパーティーを開くことにしたのだ。
───しかし、中央司令部に所属するロイ・マスタング大佐は、非番にはならなかった。
パーティー会場は司令部から離れた場所にあるため、必ず誰かが残っていなければならない。
そこで居残りとされたのが、ロイだった。

「っ…くそ…!!」

別に、仮装したいとか、踊りたいとか、そういうわけではない。むしろ、それにはあまり興味はない。
…何が悲しいかって、愛するYOUに会えないことが悲しいのだ。

軍に所属する者は、必ず出席。
彼女に帰宅時間の明確な規定は無いが、少なくともロイは、パーティーが終わってから１時間後─夜中の１時頃─まで帰れない。つまり、今日１日、彼女に会えないのだ。

「あーあー！良いなー！YOUの仮装が見たいなー！」

誰もいないのを良いことに、ロイは大声を張り上げる。
彼女はどんな仮装をしているのだろうか。着ぐるみ？猫耳でも？何だろう。

「…私は、吸血鬼だな」

ぽつり、と呟く。
ああ、今すぐYOUを自分のモノにしたい。
…あの、白い首筋に噛み付いて、消えない痕を付けるのだ。
そうすれば、この世の男が彼女をどれだけ欲しても、手に入れることなど出来ないだろう…。

「………あの、ロイさん？」

え？
振り返り、ロイは目を見開いた。
そこには、今の今まで想っていた彼女が。可愛らしい魔女の仮装をして、扉の前に立っている。

「…夢？」

「いや、現実です」

YOUがそう言うと、ロイは急いで彼女を抱きしめる。本当だ、YOUだ…

「…魔女か、可愛らしいな…君のその白い首筋に、噛み付いても良いかい？」

「はあっ!?何言ってんですか!!馬鹿!!?変態!!」

駄目なようだ。うーん、確かに、変態扱いするのも当たり前か。

「…ロイさん１人だって聞いて。寂しいだろーなって思って」

「YOU…」

嬉しいよ、とロイはYOUをもっと強く抱き締める。

「…私だけの、YOU」

「はい、そうですよ。貴方だけの、YOU・サーファーです」

クスクス、と笑う。

パーティーに行けなかったのは悔しいけれど。
それでも、幸せなハロウィンを過ごした、２人だった。

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