隠された言葉[文スト・日替り]

9種類の結果パターン

今回のお話はこちら - 2024年5月11日

一向に止まない雨を私たちは見つめていた。
私と芥川君はあまり喋るようなことはなかった。
私が、一方的に思いを寄せているだけで……
そもそもあまり関わりがないのだから、むしろ相手に忘れられてすらいるだろう。
「中々、止まないね」
「嗚呼」
会話らしい会話といえばこれだけ。
あまりに気まずすぎて、涙がでてくるかと思った程だ。
彼をちらりと盗みみると、ところどころ濡れていた。
「あ、あの、よかったらこれ」
こそこそとタオルを渡す。
あ、使った後だと思われたらどうしよう。
そんな思考になり、あわあわとしていると、
私のことを面倒だと思ったのか、彼は
「……気を使わせたな」
と、いい、ふいっと、顔を背けられてしまった。
やってしまった、やっぱ出過ぎたかな??なんて、心の中で一人反省会をし、彼をちらりと横目でみる。
彼は、しっかりとタオルを使ってくれているようだった。
私は嬉しくなり、ふふふ、と、声を出して笑ってしまった。
「何故笑う?? 」
すこしばかり困惑した目を向けられ、慌てて首をふった。
彼は小さく首をかしげると、前を向いてしまった。
「雨音、凄い響いてる」
ぽつりとそんなことを呟くと、彼が

「僕は今でも好きだが」

そんなことを唐突に言った。
私は暫くきょとんとしていた。
芥川君が私の言った言葉を間違えて捉えていたのが分かると、彼もそれに気づいたのか、はっ、として直ぐに顔を逸らした。
「間違いだ、忘れろ」
「え?? あの、」
「忘れろ」
ぴしゃりとそういいのければ、口許に手を当てていた。
私はもう一度ふふっと笑う。
「照れ隠し、かな??」
小さな声で言うと
「違う」
と、顔をこちらに向け素早く返された。
私も好き、と、口ぱくで言えば、彼は更に顔を赤くした、それ以上に私の顔も赤かったのだけれど。




雨音が響いてますね、は、貴方の事が好きでした。

この作品には9種類の結果があります

お気に入り登録で明日違う結果をチェックできます

占いを作る｜感想を書く
他の作品を探す

ブログに結果貼り付け：