【オレカ・日替わり】夢はさめるもの

12種類の結果パターン

どうか夢がさめないようにー… - 2024年5月4日

☆薄氷の剣士さんの場合


冷たい、冷たい。
触れるものすべてが冷たく、棘のように刺さる感触。
息を吐くとその冷たさに空気が凍ってしまう。
振れたものは凍り付いてしまう。
どうしてこんな力を得てしまったのか。
クジェスカ様は、私になにを望んでいたのか。
いや、今は考えるのはやめよう。
きっと考えても答えなどでないのだから。

今日は新しい仲間が増える日。
クジェスカ様に呼ばれ挨拶をすることになった。
そこにいたのは私より大きな青年だった。 目が虚ろ、すごい冷気を感じる。
その青年はダンテと言うそうだ。何でも記憶が曖昧らしい。
私よりも大きいのに、寡黙でなにを考えているのか分からない。 どう接すればいいのか、私は頭を悩ませた。
クジェスカ様は特に教えることは無いと言う。ダンテは確かに強く、私の防御魔法もかなわない。
故にクジェスカ様はダンテを可愛がる。前は私がクジェスカ様のお側にいたのに。
私ももっと強くならなくては。
ただひたすらに鍛錬に励んでも、ダンテは私の上の上をゆく。
どうやってもかなわないのでは？
なんて、脳裏をよぎる言葉に首を横に振った。
そんなこと考えたら更にダンテと力量ができてしまう。
強くならなければいけないんだ。
強く、ならなければー…


「お前はもう、いらなくなった。」


いやだー…


「お前にはもう失望した。」


やめてー…


クジェスカ様の手が、私の首を締め上げてゆく。
私に失望したクジェスカ様、私はもういらないのだと言う。
氷でできた人形風情がどうして感情なんか抱いてしまったのだろう。
ダンテにただ勝ちたくて、彼のことを徹底的に調べ上げた。
そして、彼の過去を知った。
父は魔王と化したあのアズール、母はその昔クジェスカ様の刺客だったメロウ。
その二人の間に生まれたのがダンテと妹のポワンと言うダンテより下の女の子。
ダンテの唯一の身内。
彼を、彼の帰りを待っている子がいるのだと知ってしまった。
私は、わたしはー…


『良かったね、この鍵を使えば帰れるって。』
「お前は…いったい…。」


私は…クジェスカ様の部下。
氷の人形のくせに心を持ってしまったただの出来損ないだよ…。

溶けてゆく私の体、生まれ変われるなら日の下で貴方に会いたい。

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