【歌い手】癒してください

13種類の結果パターン

癒してもらおう - 2024年4月26日

＿＿＿＿センラ


なんやかんや言って、この人とはライブですごくお世話になっている。

今回のライブもそうだ。


毎度のことながら、楽屋内が笑い声で溢れるほどのトーク力でみんなの緊張をほぐしていく。


いやでも私、今日それどころじゃ無いんだよなあ…


痛みのピークがライブに来るのだけは嫌だ。
だから今のうちに静かにしておきたい。


でも彼らは構わず大はしゃぎをする。
さかたんとかめっちゃわろてるやん。


それが今日に限ってすごく仇なんだけどね…

そう思ってまた机に伏せた。



.




「おーい」

そんな声が聞こえてきた。

体制を整えるのも一苦労なのに起こさないでよね。

『なんですか…』

あくびをして、ただ眠かっただけ、のような雰囲気を醸し出す。



「ごめんねYOU、一応気づいとったんやけど、あの輪から抜けるの時間かかってしまいましたわ」

大丈夫？気持ち悪うない？

そんな言葉をかけられる。


てか気づいてたって…？

お腹が痛すぎて何も考えられない頭には、疑問ばかり浮かび上がる。


「無理せんでええよ、さっきの顔色酷かったし。
こっちが見てて苦しゅうなったわ、クスリ飲んだ？」


あんなに喋ってたのに、きちんと見ててくれたんだ。

それでなんか満足しちゃって、安心した。


『薬はさっき飲んだ、でも本番までにもうちょい寝とく…』

そう言って、センラから机に目線を逸らして、また伏せた。


すると、隣から手が伸びてきて、頭を撫でられた。


「うんうん、寝とき寝とき。
俺にはこればっかりはよう分からんけど、ずっと側にいとるで。

本番もがんばろな？」



彼独特の訛りのまじった言葉が、心を少し軽くした。

うん、とも答えられない代わりにフッと力を抜いてまた眠りについた。


頭を撫でる手は止まらず、背中に暖かい毛布みたいなのがかけられた気がした。





『ゆっくりしいや、ずっとセンラが側におるから』

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