【歌い手】内緒のおとぎ話【日替わり】

5種類の結果パターン

今日の物語は＿ - 2024年5月4日

おばかなアリス×白うさぎそらる

2本足で走る服を着た白うさぎを追いかけて辿り着いた広間。
目の前には金色の鍵と通り抜けられないくらい小さい扉。

「…あと、これ」

手に持ったのは、『drink me』と書いてある液体の入った小瓶。
…何これ読めない。

「どりんくみー…?」

えっと私はドリンクです?知ってるよんなこと!
じゃあ何?私を零せ?

「…何してるの」

唸っていると後ろから聞こえたウェットな雰囲気の低音。
振り返ると、さっきのうさぎと似たような服を着た男。
…ん?うさ耳が、生えてる…だと!?

「言っておくけどコスプレが趣味なわけじゃないからね。もとからだから」

私の心情を察したのかそう言う青年。
まあそうだったら引いてますよ…

「君が見た兎、俺だから」

「へー…って、え？」


…何言ってるんだこの人。


「俺用事あるんだけどさあ…君があまりにもばかだったから」

「しっ失礼な!」

まさか兎もどきに馬鹿にされる日がくるとは。屈辱すぎる！

「それ、私を飲んでっていう意味だよ」

「へー…飲んだ方がいいの？」

「ここを出るにはね。でもここから出たらいもむしとか頭のおかしな猫に会うことになっちゃうよ？」

「いや、私戻りたいんだけど!」

「無理じゃない?」

「何で!?」

「俺が君を気に入っちゃったから?」

どんどん近づいてくる。後ろには、壁。
鼻と鼻が触れそうなほど顔を近づけられ、動けない。

「ね、君の名前は？」

「…YOU」

「じゃあYOU。次の問に答えよ」

「え？」





「eat me」

時間制限と言わんばかりに顔が少しずつ近付いてくる。
既に鼻と鼻が触れるくらいだったのだから、距離はほぼ無い。

私は無い頭をフル回転させた。スペルさえも分からないのに、どうやって答えを出せと言うのか。
すると、ちらりと見えたテーブルの上の『eat me』と書かれたクッキー。
もう、唇が触れてしまう。時間がない。

「わ…っ私を食べて!!」

ちゅ、と広間に響いたリップ音。
温もりが離れたと同時に目を開くと、兎の顔。

「何、し…っ!」

「自分で言ったんじゃない」

『私を食べて』
答えは恐らく正解だろう。
やられた。いっそ間違えてしまえば…いや、同じことになっていたか。

「だっだからって兎…!」

「そらる」

「…え？」

「名前。

…ね、俺と一緒にここを出ない?」

どうやら私は、戻る術を見失ったようです。

■□■□■

「この後戻れたかって?知りたいならコメと評価残していってよ」

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