8種類の結果パターン

あなたの今日のお兄ちゃんです - 2024年5月14日

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ver. 白河勝之／side 成宮鳴


真夏の暑い日、ロードワークに出ていた白河が帰ってきたと思ったら、女の子を抱えていた。


「しし白河！？誰その子！？」


ちょうど休憩中だった俺は思わず駆け寄る。


「彼女！？」

「黙れちがう……」


てっきり彼女なのかと思えば違うらしい。

うっとおしそうに答えながら、白河はその子を日陰のベンチに寝かせた。

よくよく見れば、女の子の様子がおかしい。

熱中症、かな？


「たぶん熱中症のなりかけと睡眠不足だ。何か冷やすもの頼む」

「え？あ、わかった」


熱中症はともかく、なんで睡眠不足ってわかるんだろ？

疑問に思いつつ、ベンチに置いてあったドリンクボトルを何本か抱える。

まだ冷たいから、これでいっか。

そう思って振り向いた俺は固まった。


だって、いつの間にやら白河がその子を膝枕してたんだもん。


「彼女じゃないってうそでしょ！？こんなに他人に甘い白河見たことないんだけど！？」

「だから違う……。あとうるさい」


いや、だってね。

言葉こそいつも通り刺々しいけど、白河が女の子に向ける視線は見たことないくらい優しい。

なんか、こんな白河初めて見た。


「なに騒いんでんだ」

「雅さんいいところに！あのね、白河がね！？」


俺が見たことのない白河の態度に戸惑っていると、遅れて休憩に入ったらしい雅さんがやってきた。


「白河？あぁ、YOUか」


俺から白河と女の子に視線を移した雅さんは、なんか勝手に納得している。


「ま、まさか雅さんの彼女……！？」

「は？お前知らないのか？」

「へ？」


首をかしげた俺に、ため息をついた白河が告げる。


「俺の妹だ」

「はあああああああ！？」


思わず大声を出しちゃったけど仕方ないと思う。


「妹がいるなんて初耳！！てか似てな！！」

「そうやって騒ぐから言いたくなかったんだ……。本当に黙れ」

「す、すみません……」


いつも以上に鋭くなった白河の視線に慌てて口を押さえるが、遅かったらしい。

小さく声をもらした妹ちゃんが、ゆっくりと目を開ける。


「あれ……」

「熱中症と寝不足だ、まだ起きるなばか」


起き上がろうとした妹ちゃんの頭を白河が押さえる。


「お、お兄ちゃん！？」

「昨日電話のあとすぐ寝ろって言っただろ……」

「ご、ごめんなさい……」

「もうするな」

「うん、ごめんねお兄ちゃん」


こういうの、微笑ましいって言うのかな。

なんだか、白河がすごくお兄ちゃんに見えた。

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