今日一緒に寝てくれる刀剣男士は

10種類の結果パターン

驚きの結果を君にもたらそう - 2024年5月15日

今日は山姥切国広がそばにいてくれます
(abcさんリクエスト)


怖い夢を見た。

目を開けて真っ暗な天井を見上げたとき、まず心に浮かんだ感情は、安堵だ。
「────、……夢、か」
すぐに眠るのをためらう程度には嫌な怖さが残っていた。
ため息をつく。明日も審神者として頑張らなければいけないのに、寝たくないのは困った。


その時、廊下でかすかに物音がした気がした。
息をひそめて聞いていると、どうやらそれは足音のようだ。こちらへ近づいてくる。
そして、部屋の前で足音が止まった。

昔は、夢に出てきた怪物はそのまま現実にも現れると信じられていたらしい。
ここは本丸、まだまだ私の知らないことも起こり得る可能性がある。
そう、例えば襖が開いて、異形の怪物が立っていることだってもしくは────


「だ、誰かいるの？」
聞いてしまった。
でももう腹をくくる。もし返事をしたのが化物なら、すぐに大声で誰かを呼んでやる。
そんな意気込みとは裏腹に、聞こえたのは聞き慣れた男士の声だった。

「ああ、俺だ。山姥切国広だ」
「なんだ、山姥切か……」
気が抜けた。急に怖かった夢がバカバカしく思えて、少しだけ笑ってしまった。


「こんなに遅くまで、まだ起きていたのか？」
「違うよ、いま起きたの。ちょっと怖い夢見ちゃって」
「そうか」

「ねえ、私が寝るまで隣にいてくれない？」
「俺が？」
「うん。山姥切がいい」
「…………わかった」
少しの間のあと、静かに襖が開いた。
赤いジャージに夜中でも外さない白い布。刀の代わりに明かりの消えた懐中電灯を持っている。


「見回りしてたの？」
「そうだ。もう終わったから、あんたがちゃんと寝ているか確かめに来た」
「助かったよ」
「あんたの刀だからな、当然それくらいはする」
得意げに言いつつ、彼の手が優しく私の髪を撫でた。やはり長くそばにいる刀は安心感があって、悪夢の後の嫌な気分も拭い去ってくれるようだ。


「やっぱりまんばちゃんは頼もしいや。怖い夢の怪物だって、斬れたりするの？」
「(まんばちゃん……？)」

首を傾げつつ、彼は少しだけほほ笑んだ。
「ああ。あんたの夢の化物は俺が斬る。だからもう出ては来ない。仮にも、俺は山姥切だからな」
翡翠の瞳が綺麗だ。
ありがとう、と呟いて目を閉じる。
頭に乗った温かい手に守られているような心地だった。

「おやすみ」
小さく呟く。
次の日の目覚めはきっと、爽やかなものになるだろう。



「次は、いい夢を見ろ。YOU」

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