息するように口付けを[文スト日替わり]

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今日の口付けのお味は如何？ - 2024年5月5日

本日____…中原中也
■夢主ポートマフィア所属設定


「昔ね、色んな暗殺術を試してみたことがあるのだけど、一番効果があったものは何か知ってる？」

煙草の煙を燻らせて、私は隣で紫煙を吸う彼にそう言った。喫煙室のテーブルに寄りかかりながら、彼の瞳が怪訝そうにひそめられる。

「さぁなぁ、やっぱり銃_チャカ_じゃねぇのか」
「銃は避けられるでしょ？一番効率いいのはね、…接吻よ」
「はァ？」

私が己の唇をなぞりながらそういうと、彼は素っ頓狂な声を上げた。運動神経は無くとも顔は良い私の武器と言えば、ハニートラップだ。口唇に毒を塗り、油断した相手にそのまま口付ける。一歩間違えれば巻き添えを食らいかねないやり方だが、それはそれ、解毒薬を先に含んでおけば問題ない。しかし、私がそう告げると、隣の恋人は目に見えて不機嫌になった。

「…つまり手前はアレか、暗殺と銘打ってどこの馬の骨とも知らねえ奴と口付けしまくってたってことか」
「なぁに、やきもち？可愛いね、中也は。…仕事だもの、それにね、本気のキスをする人は一人だけ。…よくわかってるでしょ？」
「ッたりめーだろうが、その“仕事”に気持ちまで乗せて見ろ。俺ァ手前に何するかわからねぇぞ」

苛立たしげに煙草を灰皿に押し付ければ、彼は
私の顎を捉える。怒りと苛立ちと、多大な嫉妬を含んだ視線が私にぶつけられる。
________刹那、苦い唇が私のそれに押し当てられた。舐めるように舌で唇を舐められれば、そのまま強く抱き締められる。

「…っ、あんなこと、言った後にキスなんて」
「あんな事聞いた後だからだろうが」
「…死にたかったの？」
「馬ァ鹿。太宰の愚図じゃああるめぇし。…上書きだ、上書き。それとも…もっと熱烈なのが欲しいのか？YOUよォ」
「ッ馬鹿、あんまりおふざけすぎると本当に毒塗ってくるから」
「はッ、好きな女の唇が最後の晩餐ってのもいいかもなァ？」
「…本当、仕方のない人」

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