Straydogs,Parafiria【文スト】

7種類の結果パターン

歪んでも、醜くても、全て貴女への愛情。 - 2024年5月8日

・


「ねェ、乱歩ぉ、いいじゃないの。ね？少しだけ……」


甘ったるい香水。媚びた猫撫で声。

全てが僕の神経を逆撫でしていることに、気づかないのだろうか。


「……あのさ、アケミは僕のことが好きなの？」


真っ暗なバーの中で、腰に首に回された赤い爪が光る。

彼女は、最近よく喫茶店の女給(ウェイトレス)のアケミ。

こうまでしていて何だが、僕にはカノジョがいて、それはアケミではない。

むしろ、こんな女嫌いだ。


「それはそうよ。というか、愛しているわよ……？」


生温い、色っぽい吐息を混じえて、耳元でそう囁いた。その行動に、虫唾が走って、思わず身の毛がよだった。

確かに客観的に述べて、彼女は美しい。

真珠が輝く、艶やかな黒髪。
真っ赤な唇、切れ長の瞳の整った顔。

白く柔らかな肌、豊満な胸に、引き締まった腰周り。
艶かしく、少し大きめの形の良い臀部(でんぶ)。

そして何より “ オトコを知った ” が故の、オトコを虜にするあの甘い妖気。


_________全部アノ娘とは反対だ。


僕の好きなアノ娘は、少し色素の薄い茶色の髪を持っていて、頬は熟れた白桃の様に桃色で柔らかくて、少し太めの眉を持っている。

彼女(アケミ)の様に “ オトコを知って ” いない、無邪気で何も知らない様な、純真無垢で愛嬌たっぷりの笑顔を浮かべて僕を呼ぶ。

何時も柔らかな石鹸(シャボン)の優しい香りがして、少し幼く感じられる、まぁるい身体の線(フォルム)。

アケミが夜空に輝く月なら、YOUは大きな木から溢れる、温かな木洩れ日だ。


「そろそろ帰るよ」
「えェー？もぉ、帰るの？」


そろそろYOUがこの店の前を通る時間だから、早く外に出なくちゃ。


「行こう、アケミ」
「分かったわ」


お札だけ出して、お釣りも貰わずに外へ出た。

もう少しで、依頼に行っていたYOUが角を曲がって此方に来る。


「アケミ。此処でお別れだよ」
「そ。じゃ左様なら、乱歩」


YOUが丁度角を曲がって此方にやって来る、その瞬間。アケミが僕に接吻をした。

視界の端でYOUが目を見開き、そして嘲笑した(わらった)。


「乱歩さん。亦、浮気ですか？」
「そうだったら何さ。」
「……別に何も無いです、帰りましょ」


ご免ね、YOU。僕がもっと素直なら、君にこんな思いを為せずに気を引くって言うのに。


【No.5】江戸川乱歩
嫉妬愛(ゼロフィリア)


(嫉妬する君の顔が好きで、僕はまた繰り返す_________)

この作品には7種類の結果があります

お気に入り登録で明日違う結果をチェックできます

占いを作る｜感想を書く
他の作品を探す

ブログに結果貼り付け：