【おそ松さん】今日も誰かが倒れます

12種類の結果パターン

すみません(やめません) - 2024年5月14日

ー松野チョロ松の場合ー学生編



移動教室の合間でも、やれることはやっておく。文化祭の準備に追われる僕の生活スタイルだ。生徒会って、思ったより忙しい。

今日やること。文化祭実行委員を集める、多分呼んでも来ないから直接回ると考えて昼休みはないだろう、いやその前に作っておいた資料と提出用書類を印刷してまとめて、顧問の先生の許可をもらう、それからパンフレットに載せるアピールの回収と異装許可書の確認、訂正と返却、放課後は装飾違反の見回りに中庭のペンキ落とし、あ、あと有志と各部パフォーマンスのタイムテーブルを組まないと。演劇部、軽音部、サッカー部の親善試合、ダンス、新体操部、チア部……

｢……っあ、｣

考え事をしながら歩いていたのが悪かった。
ただ機械的に動かしていた足が踏み出した先にあったのは、空気だ。
階段に気付かないなんて。一段飛ばしただけだけど、廊下を歩いていた勢いのままに体重をかけた僕はバランスを崩した。

どうしよう、転ける、落ちるのもヤバイがただでさえ目立つ僕が階段で転けたなんて知れ渡るのも相当やばい、どうしよう。

『十四松！』
『あいあい！！』

｢、？｣

階下から聞こえた声に目を瞠る。
顔を上げた、視線の先に、

｢じ、十四まっ｢ドゥーン！！！！｣

ちょっと待て、

……なんて言うまもなく。
凄まじい効果音(※声)と共に踊り場から駆け上がってきた十四松が、ほぼ落下状態だった僕を抱えて廊下に着地。
危ねえよ、でも助かった、

｢ありがとう、十四松……もう下ろしてくれていいよ｣

というか下ろしてくれ。同じ顔の男子高校生がお姫様抱っこ状態とか、絵面がキツい。
というのに、何か考えた様子の十四松。真顔で僕の顔を見つめるのやめて、十四松。

｢あの、｣
｢十四松タクシー、出発致しマッスル！｣

苦笑いするしかない僕の困惑をなきものとして、十四松はたった今駆け上がった階段を三段飛ばしで駆け下りる。ま、待て待て待て酔うから！酔うから！！

｢とーちゃっく！！｣
｢ｸﾞﾊｯ｣

頭揺られまくって完全に車酔い状態の僕には、急停止した十四松タクシーの衝撃は重い。変な声が出るのも不可抗力だ。

｢にーさんが、『普段のチョロ松があんなとこで転けるわけない。十四松タクシー出動して、チョロ松兄さんのこと連れてって』って！｣

何故かアホ毛が一本増えて、一松のモノマネをする十四松に突っ込む余裕もない僕は、そこで初めて、自分の不調に気がついた。

酔いと熱で目が回る。

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