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甘く溶けた。 - 2024年5月13日

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ねぇ、なんて言いながら後ろから抱きついてくる彼。

雨音が響くリビングで、
抱きついているぬくもりが少し生々しく感じられる。

今、本を読んでいる最中なの分からないの？
心の中にそれを閉じ込め、
後ろを振り向く。

まふの顔は不貞腐れてた。



「本と雨音に響いて雫になれ」
　(雨音と一緒に本をぬらして、泣け)



あぁ、またこうなっちゃった。
少しでも不機嫌になると言葉が伝わりにくくなるやつだ

全然使ってない頭をフル回転させ、
ピッタリ合う言葉を考える。
滴のポタポタ、と垂れているのを窓越しで見ながら
まふのぬくもりを感じ本を閉ざす。

意味は分かる、それなのに全然思いつかない。

目をつむり雨音を聞く。



「んっ!?んんーっ!」
「ん、煩いですよ優衣さん」


いきなり横から来たキスにびっくりし、
微かに震えてる手で頭を叩く。

やっと終わったと思い睨みつけると
少し笑ってる顔をこっちに向け頭をなでなでさせる。

そういうところがズルいの知ってるの？

雰囲気が飴細工みたいに、甘く苦い。



「ねぇ、この雰囲気苦手なの知ってるでしょ、まふ」
「知ってる、だからしたの」


「意地悪」
「んふふっ引っかかった優衣も悪い」


意地悪そうな顔をして、
そっと私の頬に手をつけた。

ビクッ、体が反応してしまったが
気持ちよくて目をまた瞑る。


雨音と甘く苦い雰囲気が私たちに一番似合うかもしれない。



「愛してる、なんて重い？」
「ううん僕には十分」



この時間、雨音しか聞こえない空間を貴方と愛すこと。


それが私の大好き期な君でよかった。

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みかれ ： まふまふ

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