【HQ!!日替わり】ようこそ、第三体育館へ【第三体育館組】

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俺たちがお前と居るとき何を考えてたか、知ってた？ - 2024年5月6日

ネット一枚、それが俺たちの距離。


｢YOUちゃーん。たまには俺のチームの味方しねぇ？｣

｢しませんよ。私は梟谷チームです｣


ネットに指を引っ掻けて誘っても彼女はあっさり受け流してしまう。
ジロッとネットの向こうに立つ梟を見ると、珍しく二羽共々俺を見てニヤニヤしていた。

くそ、こっちはガチなんだよ笑ってんな。
つか赤葦のニヤニヤとかレアなのここで披露してんなよ。

そんなことをおくびにも出さずに俺は笑って至極軽い口調を作りながらYOUに話し掛ける。


｢えー。それは昼間の練習だけだろ？自主練の時くらいこっちのマネやってくれても良くね？｣

｢やってますよ？｣

｢木兎たちの後にだけどな。いや、そうじゃなくて……｣


わけがわからないと言いたげに彼女が首を捻る。
おいおい、それ無意識かよ。
木兎だけじゃなく赤葦までもが溺愛する理由がわかるな、ったく。

指を引っ掻けたままその手をグッと握りしめて、俺は思いきって少し踏み込んで言った。


｢YOUちゃんに一番にサポートして貰いたいの、俺は｣

｢え？あ、音駒ってマネージャー居ませんもんね。もしかして憧れてたんですか？｣


何この子強い。

天然って怖い。

くそ、木兎たち笑いやがって。
赤葦までってのが何かすげぇムカつく。
でも普通今みたいなこと言われたらドキッとか、もしかして、とか来るもんじゃねぇの？俺の偏見か？


｢黒尾さん黒尾さん｣

｢んぁ？｣


思うように口説けなくて少し落ち込んできた俺の名前をYOUが呼ぶ。
｢耳かしてください｣と言われ、何だと思いながら、ネット越しに俺は身を屈めて片耳を差し出す。
俺の耳にソッと唇を近付け、彼女は囁いた。


｢――じゃあ明日の自主練習はずっと黒尾さんだけのマネやってあげますね｣

｢！！｣

｢今知られたら木兎先輩達がうるさくなっちゃいますから｣


明日びっくりさせてみたいです。
俺から顔を離して彼女はまるで花のように笑った。


｢YOUちゃーん、これ運ぶの手伝って！｣

｢あ、はい！｣


YOUがネットを潜って俺の後ろに走っていく。
反射的に振り返り、マネの仕事に戻っていく彼女の背中を呆然と見つめていた俺は、次の瞬間ニヤニヤと恥ずかしさに両手で顔を覆った。


　

畜生、天然って怖すぎる。



　

★☆☆☆☆


黒尾鉄朗×ネット


(君に振り回されるのも恋のうち)

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