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20コール その理由は ページ22

*



太宰さんとこのカフェで初めて出会ったのは、あの素敵帽子と出会ってまもなくの頃である





「そこのお嬢さん!どうか私と心中していただけませんか!」




目が合うなり、そんな事をぬかしてきたものだから、残念な事に私の中で彼の第一印象は悲惨なものになった



そんな変態からのお誘いを丁重にお断りして、これで万事解決かと思ったものだが、そう上手くはいかない


彼は私に関わり続けた。







具体的に云えば、私がこのカフェに来ると必ず彼は現れた




その度に



「おや。奇遇だね」



と白々しく声をかけてくる。律儀にも、毎回_____









『私、貴方に何かしましたか……?』



少し不安になって聞くと、太宰さんはキメ顏で一言




「私の(ハート)を盗んだのさ」


私は携帯電話を取り出した




「ちょっと。何しているんだい?」

『警察の方に知らせを…』

「電話苦手なんじゃ…」

『世の為…』

「いや待ち給え、待ち給え」




太宰さんは私の手ごと携帯を掴んだ
彼のひんやりとした手の感触が伝わってくる



「ほら、無駄な電話しちゃ軍警にも迷惑だろう?」


『無駄…?』


「そこ疑問に思わないで、悲しくなる」



『…じゃあ、なんで太宰さんは』



私が云うと、彼は私の手を離して頬杖をつき、答える代わりに私に聞いた





「なんでだと思う?」





なんでだろう…



少なくとも、私に会う為ではないとふんだ

さっき私がこのカフェにくると彼が必ず現れると云ったが、彼が私に会うメリットがわからない

太宰さんが頻繁にカフェ(ここ)に通っていて、だから結果的に会ってしまうだけなのかもしれないし

太宰さんと会ったのも最近だし、やっぱりたまたま…


と、なると




『…どうせ貴方は、美人の女給さん目当てでしょう』



何回か彼が女給さんを口説いているのを見た事がある

見たところ、彼は女好きだし



そう考えると、そうとしか思えなくなってきた


うん、きっとそうだ




「それが違うんだなぁ」


『…え?』




彼はただ微笑んで、その件についてはそれ以上は何も云わずに、立ち上がった




そのままいつものように立ち去ってしまうのかと思ったが、今日は例外のようで、


彼は私を見て云う





「ねえ、ちょっと私に付き合ってくれないかい?」




*

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水瀬琥雪 - うぅ…好きです!!こう言う恋も素敵だなぁ… (2022年12月21日 22時) (レス) @page46 id: 27e17eb645 (このIDを非表示/違反報告)
もち - 六さん» そうなんですね。ありがとうございます。 (2022年3月1日 19時) (レス) id: 71a9499b2d (このIDを非表示/違反報告)
- もちさん» あ、混乱させてすみません。もう自分が通報したので消えましたが、この葵って人、謝った後「なんて言うとでも思った?wwおばさんww」って返しててあまりに失礼だと思ったので介入しただけです… (2022年2月26日 0時) (レス) id: e32b92c4c5 (このIDを非表示/違反報告)
もち - 六さん» どういう状況すか?よくわからないんですけど。 (2022年2月24日 0時) (レス) id: 5b4b0a933b (このIDを非表示/違反報告)
- 名無しさん» 名無し、お前は間違ってないぞ。評価1000評越えが羨ましいキッズが妬んでアンチコメしたらばっちり言い返されてキレてるだけだからwこういう奴は相手する価値ない。無視しようぜ。 (2022年2月8日 1時) (レス) id: 7b7a62c26c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆう。 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年2月1日 19時

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