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11コール 奥の手 ページ12

*


彼が訝しげに此方を見た


そりゃそうだ。自分が電話をかけたのと同時に隣テーブルの知らない奴に電話がかかってきたのだから



対する私は顔面蒼白

頭の先から凍りついたように寒くなった



迂闊だった…


私の携帯に彼の電話の履歴が残っているなら、それは彼だって同じだったのだ__







「おい」


話しかけられて嫌に高鳴る心臓



錆びついた機械のごとく恐る恐る彼を見る。初めてその蒼い瞳と目があったのに、嬉しさなんてものはすぐに恐怖に呑まれてしまった


その綺麗な瞳で彼が私を睨む



「電話、出なくていいのかよ」




…嗚呼、これ、終わった


瞬時に悟った


もうほぼバレてるし、確実にバレる




電話に出ても声でバレるし、出ない理由もない


どちらかにしてもバレるなら、ここは素直に応じるべきか…




私は諦めて、五月蝿い携帯に応答した






『……………もしもし』



「……やっぱり手前か」



目の前からと、電話からの二重に聞こえる彼の声



彼は携帯を耳に当てたまま、にやり、と笑った





「とんだ偶然だが…、見つけたぜ、間違い女」



…間違い女とは、失礼な



『…ま、間違い電話をかけてきたのは貴方です、俺ださん』


「誰が“俺だ”だ」


『誰が“間違い女”だ』


「……」


『……』






少しの沈黙


先に口を開いたのは彼だった





「……手前、自分がどういう状況かわかっているのか?」


『………』



何も云えず、私はゴクリと唾を飲み込んだ




「マフィアは狙ったものをそう簡単に逃がしてやる程ヤワじゃねぇぜ?」



不敵に微笑む彼



背筋にゾクリと嫌な感覚が走る






ど、どうしよう…



なんとかこの場を抜ける手はないのか、



ぐるぐると思考し、散々迷った私は、







_____彼のその鼻先に携帯電話を突きつけた






「は?」



『こ、こっちには、電話番号があります!』



私が云うと、途端に彼の表情が崩れる




『わ、わ私に何かしようものならっ、この番号を広めて、み道連れにします!』


マフィアの彼なら、自分の情報が漏れるのはマズイだろう。そんな考えから来た単純な手だった




対する彼は腕を組んで此方を睨む




「ふん。番号なんて変えちまえばいい話だ。そんなの脅しに入らねぇよ」



『じゃあ、この番号広めます。拡散します』



「は、そんなこと……」



彼は余裕そうに微笑んだ









「……………それはやめろ」




マフィアに勝った




*

12コール 横暴マフィア→←10コール 着信音



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水瀬琥雪 - うぅ…好きです!!こう言う恋も素敵だなぁ… (2022年12月21日 22時) (レス) @page46 id: 27e17eb645 (このIDを非表示/違反報告)
もち - 六さん» そうなんですね。ありがとうございます。 (2022年3月1日 19時) (レス) id: 71a9499b2d (このIDを非表示/違反報告)
- もちさん» あ、混乱させてすみません。もう自分が通報したので消えましたが、この葵って人、謝った後「なんて言うとでも思った?wwおばさんww」って返しててあまりに失礼だと思ったので介入しただけです… (2022年2月26日 0時) (レス) id: e32b92c4c5 (このIDを非表示/違反報告)
もち - 六さん» どういう状況すか?よくわからないんですけど。 (2022年2月24日 0時) (レス) id: 5b4b0a933b (このIDを非表示/違反報告)
- 名無しさん» 名無し、お前は間違ってないぞ。評価1000評越えが羨ましいキッズが妬んでアンチコメしたらばっちり言い返されてキレてるだけだからwこういう奴は相手する価値ない。無視しようぜ。 (2022年2月8日 1時) (レス) id: 7b7a62c26c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆう。 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年2月1日 19時

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