【skt】控えめオタクの推しごと事情【usss】

27. 他担になっても / skt ページ34

　
　
「他担狩り！？そんなんあるん？」




とある配信中、コメントを見て驚愕。無意識もあれば、わざと他メンバー推しの子にファンサして推し変させようとする輩も存在するらしい。こっわ。

無いとは思いつつ、もし浦島の他の3人がそんなことをしたらと想像する。みんな俺よりイケメンやったりサービス精神旺盛やったりで、敵う気がしない。



(…もしAさんが、センラーになりました！とか言ったら……)



あかん。だいぶショックや。でもセンラの方は彼女を気に入ってしまったから、これからもファンサくらいはするかもしれない。




「みんな、どこにも行かないで！」





*





「そういえばこの前センラさんと会いました」

「………ん？」




冒頭の配信の後、なんだか不安になってAさんに食事の誘いを入れた。今日は土曜日で、最後に会ったのは確か週の頭。たった5日の間に、一体何が起きとるん。

平静を装って「どこで？」と尋ねると、彼女はことの経緯を教えてくれた。なるほど、会社でね。




「いつも見てるセンラと印象違った？」

「うーん、そこまで大きくは…。

ああでも、もっとファンとは距離取るタイプかなって勝手に思ってました」




てことは距離が近かったってこと？

いちいち彼女の発言が気になってしまう。




「LINE知りたいって言ってくれたんですけどーー」

「え、教えたん？」




思ったより尖った声が出て自分で驚いた。Aさんも目をパチクリとさせている。ええやんか教えてても。彼女の自由や。




「えと、また次に会った時にって、その時は交換しませんでした」




そうなんや。

………だから、ホッとすんなって。




「何で交換しなかったん？」

「…だって、坂田さんと違って、活動者としてのセンラさんしか知らないし………」



そんな簡単に連絡先手に入れちゃダメな気がしたんです。センラーの子にも悪いし。




難しい顔をしながら答える。彼女はいつだって、ファンと推しの距離感を気にしている。




「俺はよかったん？」




願わくば彼女の口から、俺は特別だから、とか、イチ推しだから、とか聞けたら。きっと幾分かは自信がつく。




「………坂田さんとの関係は、オタクと推しってだけじゃないと思ったから、交換したんですよ」


そう思ってるの、私だけでした…？



浅はかな俺の魂胆を知ってか知らずか、恥ずかしそうに、そして少し不安そうにこちらを見ながら紡がれた言葉は、求めていた以上の効果で心を満たす。




「…佐倉さん」

「はい」

「推し変しても、仲良くしてな」





頼りない俺やけど、そばに居て。








*配信の内容を参考にしています！

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