友達の友達は推しでした【浦島坂田船】 (ページ5)

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＊夏ツアーページ5

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5時開場……6時開演。

電車に揺られながら新品の腕時計を覗く。

今日は浦島坂田船夏ツアーだ。夏ツアー。グッズ片手にスマホを起動。フォロワーさんには今からだー！楽しんでくるぞ！という人もたくさんいて。

今やピタッとツイートは止まっている。あと5分で開演。今皆どうしているんだろう。もしもチケットが当たっていたら私はドキドキしながらそこにいたはずだ。今は違う意味でドキドキしている。

イヤホンを耳に押し込んで新曲を聞くけれど歌詞は全く脳には流れ込んでこない。

こんな気持ちしたくないよ。

でも分かってる。

この悩みは贅沢者の悩みってことくらい。

「やばい…開演、だ」

ガタンゴトン、電車の揺れる音とともに夏ツアーは開幕したようだ。

ちっぽけな袋の中には4人のアクリルスタンドとか缶バッチとか。

自撮り待っておこう。そう自分を励ました。

ピロン、

スマホの電源を落とした瞬間に現れる通知音。お馴染みの志乃里からだ。

『明後日空いてる？例の私の友達と会うやつ』

ああ、と思う。そういえば紹介したいとか言ってたな。女の子？もしかしてcrew？それだったら自分のテリトリーが広くなるから嬉しい。

きっと志乃里のことだから落ち込んでいる私を見かねてcrewの友達を紹介してくれるのだろうか。だからチケットのことも知ってたんだ。なるほど、こう考えると辻褄がぴったり合う。

いいよ、と元気な顔文字とともに送信。文字だけでも元気なテンションを保っていなければずっと重い気分なままだろう。

ぼっーと車外の景色を見ていると私の家の最寄り駅に到着。

気分だけでも…ライブのダイジェスト映像を見よう。

家に帰ってあーやこーやしているうちにライブは終わったようで参戦していたリスナーさんも次々とツイッターに浮上してくる。

自撮りを見てテンション上がりっぱなしな私はこの笑顔を間近で見ることになろうとは思いもよらない。