第百九十三話『君ハ何度』 ページ36
……夜
太「さぁて、説明してもらおう」
『……』
織「……太宰、程々にな」
『……お、織田作……』
織田は“お大事に”と一言残して行ってしまった。
此処はポートマフィアの太宰の執務室。
帰って早々、黒い笑みを浮かべる太宰に出迎えられて
彼から手当をされて執務室に運ばれ、先程のミミック長の
話をした。
話が終わり執務室に出ようとしたら……
太「逃げようとしても無駄だよ」
これだ。
もう朝といい、これといい。
……最悪だとしか云いようがない。
『……も、申し訳あ』
太「それで私が赦すとでも?」
『……そ、れは』
太宰の手が伸びる。
また叩かれる、と体に力を入れた。
太「────いい加減にしろ」
ギュッと強く、強く抱き締められる。
太宰の体はほんの少し震えていた。
『……だ、だざっ』
太「君は何度、怪我をすればいい!?
私にどれだけ心配させれば気が済むんだ!?」
『……え』
そっちか、そっちだったのか。
また敵を逃がしたから怒られるのかと思ったら怪我したことに
怒っていたのか!
『太宰さん、本当にすみません。僕の注意不足です』
太「……」
『……えっと、本当に……その……』
太「もう……いなく……ならないで……」
『…………?』
ふと思った。
何故、この人はこんなにも自分に執着するのか。
ただ、本当に自分を好いているだけなのか?
『……太宰さん、僕はいなくなりません』
太「……“君”じゃ……い……だ」
『……太宰……さん……?』
ボソボソと小さく声を発する為、よく聞き取れない。
『……太宰さん、あのもっと大きな声で』
太「……君が死ぬ姿はもう見たくない」
────死ぬ姿?
自分は死ぬのか?
否、原作でもそんな場面などなかった。
……いや待て、“もう見たくない”とは如何いう意味だ。
『……その話、詳しく教えてくれませんか』
太「……」
『……太宰さん!!』
ピクリと太宰の肩が揺れた。
そして顔を芥川の頸元に埋めた。
太「あんな夢……思い出したくもない」
『……夢?』
太「……だからもうこの話は終わり。もうゆっくり休み給え」
『えっ、ちょっ待っ』
太宰はそれ以上何も云わず執務室から出て行ってしまった。
『……如何いう?』
明らかに太宰の様子が可笑しい。
だが、理由を聞きたくても彼の苦しそうな顔を見るのは
嫌だった。
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アニヲタ(プロフ) - 少し遅くなりましたが最近(?)20巻発売されましたね!私はもう…ショックが酷くて読んだ後一週間位病んでました笑更新再開ずっと気長に待ってます!無理の無いご自分のペースで書いてくださいね…!ずっとずっと待ってます! (2021年1月11日 22時) (レス) id: 71f36505fa (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - アニヲタさん» いえいえ、リクがありましたら可能な限り受け付けます。お時間が掛かるかもしれませんが、、、でっぷるは映画で一度見たきりなのであまり詳しく覚えてないです、、小説は友人に貸して帰ってこないんですよ笑 (2020年7月30日 3時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
アニヲタ(プロフ) - 厭々!!!リク受けて下さるだけでも十分過ぎるのにぃ…マジで有難う御座います…!実は私もでっぷる編全く、これっぽちも知らんのですよねぇ...。 (2020年7月28日 18時) (レス) id: a9a289fd68 (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - アニヲタさん» コメントありがとうございます。でっぷる編ですが今、手元に小説がない状況でして書くことが出来ないんです、申し訳ないです、、、リク希望ありがとうございます。時間が掛かるかもしれませんが、受付致します。 (2020年7月28日 18時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
アニヲタ(プロフ) - あのぅ…でっぷる編書くご予定はありますでしょうか…?若し無ければリクをしたいのですが… (2020年7月28日 14時) (レス) id: a9a289fd68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らしろ | 作成日時:2020年3月16日 21時