第百七十八話『君モ冷静』 ページ21
エ「連れて来たわ、リンタロウ!」
森「ありがとう、エリスちゃん」
ジメジメした地下とは違い、湿度も気温もちょうど良いが、また違う息苦しさが芥川を襲う。
『……エリス嬢には御足労かけました。首領、御用件は?』
森「うむ、君にも云っておこうと思ってね」
ピリッと空気が張り詰めた。
ここまで緊張したのはいつぶりだろうか?
森「実は行方不明になった者がいてね」
『……ま、まさか僕関連で……太宰さんがまた手を下し』
森「あっ……違う、違うから。頭を下げないで?大丈夫だからね?」
『……それならよかった……ではなくすみません、早とちりを』
森「……いやいや君も苦労しているね。
本題なのだけど、実は行方不明になったのは、情報員の坂口安吾君だ」
一瞬、思考が停止した。
……彼が行方不明?何故?あの情報員が……?
否、しかし彼は────
森「……驚いた、君
『……君も?』
森「実は織田作之助君にも同じように伝えた。
彼も狼狽えることなく冷静に受け止めていてね。
私は彼に坂口君を探すように頼んだんだ」
人探しとなると慥かに織田作のような下級構成が行っても何も不思議ではない。
しかも彼等は友人。
しかし何故だろう、腑に落ちない。
そして何より……
『……何故それを僕に?』
森「いやあ、なに。君の驚いた顔が見たかっただけだよ」
それだけの理由だけではない。
森を注意深く見るが彼は表情を変えずに終始にこやかな表情だ。
森「それじゃあ、もし何かあったら宜しくね」
『……はい、失礼します』
頭を下げて部屋を出る。
扉を閉じる時に見えた森の怪しげな表情はこれからの出来事に期待をしていた。
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織「芥川、咖喱を食べに行かないか」
そう織田作に誘われたのはあれから雨が降り、雨が止んだ頃。
上司である太宰はミミックの情報を収集して忙しく飛び回っており滅多に顔を合わせることがなくなってしまった。
『……そう、だな。久し振りに行くか』
一体あの日、何があったのだろうか?
坂口安吾が失踪したことを森の口から伝えられた日。
その日から織田作は彼を探し回っているが何も手がかりが掴めなかった。
織「……」
慣れた道を二人で歩く
『……』
洋食屋へと歩いている時は誰も口を開かず
ただ静かに風が吹いただけだった。
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第百七十九話『視界塞ギタックル作戦』→←第百七十七話『グワングワン』
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アニヲタ(プロフ) - 少し遅くなりましたが最近(?)20巻発売されましたね!私はもう…ショックが酷くて読んだ後一週間位病んでました笑更新再開ずっと気長に待ってます!無理の無いご自分のペースで書いてくださいね…!ずっとずっと待ってます! (2021年1月11日 22時) (レス) id: 71f36505fa (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - アニヲタさん» いえいえ、リクがありましたら可能な限り受け付けます。お時間が掛かるかもしれませんが、、、でっぷるは映画で一度見たきりなのであまり詳しく覚えてないです、、小説は友人に貸して帰ってこないんですよ笑 (2020年7月30日 3時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
アニヲタ(プロフ) - 厭々!!!リク受けて下さるだけでも十分過ぎるのにぃ…マジで有難う御座います…!実は私もでっぷる編全く、これっぽちも知らんのですよねぇ...。 (2020年7月28日 18時) (レス) id: a9a289fd68 (このIDを非表示/違反報告)
らしろ(プロフ) - アニヲタさん» コメントありがとうございます。でっぷる編ですが今、手元に小説がない状況でして書くことが出来ないんです、申し訳ないです、、、リク希望ありがとうございます。時間が掛かるかもしれませんが、受付致します。 (2020年7月28日 18時) (レス) id: 2b7c5de986 (このIDを非表示/違反報告)
アニヲタ(プロフ) - あのぅ…でっぷる編書くご予定はありますでしょうか…?若し無ければリクをしたいのですが… (2020年7月28日 14時) (レス) id: a9a289fd68 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らしろ | 作成日時:2020年3月16日 21時