硬貨29枚 ページ30
クロウリー「ブッチくん、アルバイトはどうです？」
ラギー「え、オレ…？どうって、まぁ、フツー？全然生活できる額ッスけど」
ほらね、とでも言いたげな顔をするクロウリー。
その視線でAの周囲の雰囲気は一気に冷たくなった。
地雷踏んだな、とレオナは察する。
クロウリー「塵も積もれば山となる、と言いますでしょう？貴方は効率がいい、稼ぐだなんて難しくないと私は思います」
『……山になるのは一体いつ？僕がたっくさん頑張れば皆の何倍ももらえるの？もらえないじゃん』
クロウリー「それは………そう、ですが…」
『…人の事情も知らないくせに、どいつもこいつも首突っ込んで………はぁ、仕方ない、唯一手を引ける提案してあげる！』
ブーツのかかとを鳴らしてクロウリーの前に立つ。
自分より幾分か背が高い彼の胸ぐらを掴み、顔を引き寄せた。
『学園長サマが払ってよ、僕の家の借金全額。そしたら手を引かないこともないよ』
クロウリー「流石にそれは…できません」
『ね、できないでしょ？…………金を稼ぐ方法は巨万とある。たまたま体を売るのが僕に向いてただけだよ』
哀愁を含んだ目でAはそう告げる。
Aの私生活が垣間見え、同情の空気へと変わる。
カリムは口を開きかけたが、ジャミルがそれを止めた。
"それなら俺が___"と言いかけたのだろう。
カリムは善意で。だがそれはAや同郷のラギーからしたら惨めである以上の何物でもない。
Aにだってプライドはある。
薄汚く濁った、誰にも譲れないプライドが。
『僕と学園長サマとじゃあ根本から価値観が違う。こっちは今日生きてられるかも定かじゃない。山になるのを待ってたら野垂れ死ぬよ』
"それでも普通に働けだなんて酷なこと言うね"と冷たい目で言い放つ。
もともとそんなに高くもないクロウリーへの高感度ががくんと落ちた瞬間だった。
大人ってのはやっぱりこういうものなんだな、とろくに考えられもしない頭で思う。
胸ぐらから手を離し、マジカルペンを構え、小さく円を書く。
『…
踵を返し、"兄ちゃん、寮長先輩また後で"とだけ残して部屋を出た。
クロウリーは考え込む。今の魔法で一定の人物を除き、Aに深く干渉できなくなったのだ。
この場にいた者の付近で星が舞う。
魔法がかからなかった人物はレオナ、ラギー、そしてルークだった。
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しお(プロフ) - 完結おめでとうございますっ作者様の作品どれも大好きです！！ほんとにどタイプです(; ;)新作も楽しみにしています！頑張ってください！ (2020年8月17日 18時) (
レス) id: 555d662f3a (このIDを非表示/違反報告)
ぱるこ氏(プロフ) - 完結おめでとうございます！！すっごく読んでいて楽しい作品でした！またどこかで貴方様の作品に出会えますように（＾ν＾） (2020年8月16日 22時) (レス) id: f3351ce51f (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - とても面白いです。この作品が更新されるのを毎日心待ちにしてます。更新大変だと思うので作者様なりのペースで頑張ってください！応援してます。 (2020年8月7日 22時) (レス) id: 9f253d2950 (このIDを非表示/違反報告)
諒(プロフ) - イライ&ナワーブさん» ご指摘ありがとうございます！お手数ですが、誤表記の話数をお教えいただけませんか？ (2020年8月7日 22時) (レス) id: 20c69aa8ad (このIDを非表示/違反報告)
イライ&ナワーブ - とても面白いと言うかBL最高！ (レオンではなくてレオナですよ) (2020年8月7日 21時) (レス) id: 1da65a8f09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：諒 | 作成日時：2020年8月2日 13時
