【歌い手】捨てられない想い２(そらる)

八十曲 ページ35

そらる「ありがとう。お陰で凄く良い歌が歌えた」



『こちらこそ、沢山の良い歌を聴かせていただきありがとうございました。』



歌を歌い終わったのは良い子どころかたくさんの人が寝ている時間で
私は時計の秒針をみて苦笑いをする
明日はきっと眠たいんだろうと思いながら、それでも綺麗な歌を聞けたからムカつくことなんて全くなくて、むしろ私は喜んでいるくらいで
そんな私はそらるさんに合わせて帰る支度を始めた




そらる「ごめん、こんな時間まで付き合わせて」



『別に気にしてません。私にできることがあるなら幾らでも協力しますよ
昔、沢山助けていだだいたので、お返し、です。』




そらる「…？俺そんなにAのこと助けたっけ？」




『助けた人は覚えてなくても、助けてもらった人は覚えているんですよ。』




そらる「ふーん……あ、なら…。」



もう帰りの支度は終わり、帰るために私達は歩き出す




そらる「次は二人で、ゆっくり夜に食べに行こう」



そらるさんは私に合わせて歩幅を小さくして歩く
そして、私を向いて、優しく微笑んだ



『……それ、は…』




そらる「歌い手とか、そういうのは一切気にせずに

ただの俺とA、二人で。
そんな俺のお誘い…ね？」




もうこれから先、そらるさんから離れるなんて出来なくて…嫌



『……私で良ければ。』




……心のどこかで、私はそらるさんから離れたくないと言っているんだ


もう、自分の気持ちを抑えるのは諦めよう
私は目を瞑り、息を吐き、前を向いた

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