【参謀の叡智.参】 ページ4
_
『それに……、
きっとお義父さん達にとっても不都合なんでしょうね。
《ギルド》が目標を達成するのが…』
残念だと思った。
あの時、
彼が選択を間違えなければ救われるものはあっただろうに。
『取捨選択は難しいですね…』
「ア?何の話だよ」
『あー、いや。忘れてください』
「ふーん。
ま、何か変えてるか知らねぇけどとりあえず休もうぜ。
そんな体じゃ出来ることも出来なくなるぞ」
額に伸ばされた手。
前髪を優しく払って手袋を外した素肌がおでこに触れた。
『……中原さんって基礎体温高いですよね』
じんわりと広がる熱にうっとりと目を閉じた。
これだけで、疲れが抜けるような気がするもんだから、不思議だ。
「まぁ代謝はいい方だと思うが」
『んー、いいですねぇ。燃費のいいカラダ』
「なんじゃそりゃ」
特に熱とかはないと判断したのか、するりと手は遠ざかってしまった。
惜しいと思ったけれど、TPOを考えて飲み込む。
「あー、この戦い終わったら1杯パーッとやるか」
その声に惰性に微睡んでいた目を開けた。
中原さんはニヒルに笑っている。
「赤いワインあけてやるからよ。
首領と姐さんも巻き込んで楽しく飲もうぜ」
そう言ってワイングラスを回す振りをする中原さん。
それにふっと笑った。
『いいですね。
1杯と云わずにオールでやりましょうか。
中原さんの貯蔵からにする自信ありますよ?』
「やめろ、蠎蛇。
テメェ酒の味わかんねぇクセェに水見てぇに飲むじゃねぇかよ。
そんなやつのために何本も開けてられるか!」
『中原さんが弱すぎるんですよ。
大丈夫です、安心してください。
ちゃんと酔った中原さんをマンションの部屋まで運び届けますから』
「安心できねーよ」
一通りカラカラと笑って、人心地ついて。
和ませるために云ってくれたんだなと思うとむずかゆい。
『んー。じゃあ仮眠とってきます』
ソファーから立ち上がって仮眠室へと手をかける。
『中原さんも休まないとダメですよ』
「ばーか。
俺は戦闘要員なんで俺の出番はまだまだ先だ」
『それもそうですね』
ひらりと手を振って私は部屋を出た。
さーって、一眠りでもするか。
_
【叡智の参謀.参】
768人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みゆう(プロフ) - めちゃくちゃ面白くて何度も読んでしまいます。更新待っています。頑張ってください。 (2022年8月23日 13時) (レス) @page5 id: 3379df1390 (このIDを非表示/違反報告)
まや(プロフ) - このお話本当に何度読み返しても面白いです!何年経っても更新楽しみに待ってます! (2022年1月18日 1時) (レス) @page5 id: 03f5a06593 (このIDを非表示/違反報告)
えり(プロフ) - 本当に本当にこのお話大好きです!!いつまでも更新待っています!! (2021年12月27日 0時) (レス) @page5 id: f9e43dff41 (このIDを非表示/違反報告)
ありす - 何度読み返しても新鮮な気持ちで読めて面白いです!何年経とうが更新楽しみにしています!頑張ってください! (2020年9月18日 18時) (レス) id: 0cbd250c29 (このIDを非表示/違反報告)
イアデビル(プロフ) - 面白いです!最新頑張ってください!楽しみにしてます!応援してます! (2019年4月30日 6時) (レス) id: ef5404f845 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:朱鷺 | 作成日時:2018年6月23日 20時