ツンデレすぎる護衛人【灰谷竜胆】

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『え、あの…りんちゃんここ……。』

｢女優をファミレスなんかに連れていくわけねーだろ。｣




六本木のとあるお店。
普通にファミレスみたいなところを予想していたが、
連れて行かれたのはなにやら高級そうな個室があるお店だった。


こういう所って、普通予約必須なのではないかと思ったが、りんちゃんを見た店主がめちゃくちゃ頭を下げていて、まもなく奥へと通されたのだった。





『あの、りんちゃんって、何者なんですか…？』


｢…なんだと思う？｣



聞いたのはこちらの方なのに、
質問を質問で返され、さらには少し意地悪そうな顔で見られ、目を合わせることすら恥ずかしい。



『…………ナンデモナイデス。』


｢ん、ならいい。｣


私の事は結構もう話したのに、
りんちゃんは一向に素性を明かしてくれない。



だけど、そんなミステリアスな一面もまた素敵だと思ってしまう自分がいるのは事実だった。






＊





『あ、あの…っ、いくらだったか分からなくて怖いけど少しなら私もお金持ってるから……っ！』



食事をし終えてトイレに行っている間に会計は済まされていた。
絶対に高いだろうな。
さすがに大金は持っていないがこれでも売れっ子女優だ。少しくらいなら……とお財布を手に彼に近づくと





｢……恥かかせんじゃねーよ。それ、しまえ。｣


鬱陶しそうに言われてしまえばもう何も出来ない。




『……ご馳走様です。』

｢ん、それでいいんだよ。馬鹿が。｣



ぽんっ、なんて頭を撫でられる。
少しお酒も飲ませてもらったが、弱い私は既にほろ酔い状態。
好きという気持ちが膨れ上がった脳内は、
制御するということをしなかった。


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