エピローグ ページ21
・
「そらるさん！ 早く来てください！」
「そんな急ぐもんじゃないだろ……」
初夏。さわやかな風が吹く。
「僕にとっては大事なことなんです！」
「はいはい、それ聞いたのもう十回目」
「あ、もうすぐですよ」
「いらっしゃいませ」とおばあさんが挨拶する。
そしていつものことのように、みたらし団子が二つ入ったパッケージを彼に手渡した。
「ありがとうございます。ほら、一本どうぞ」
「まふ、こんなときだけ走るのやめてくれない？」
「そらるさんが体力ないのが悪いんです」
彼はみたらし団子にかぶりつく。
鼻歌を歌いながら、たれをすくった。
「最近その歌……っていうか、その鼻歌ばかり歌ってるよな。けど、ここに来たとき以外は絶対に歌わない」
「……これを聴かせる人は、別にいるんですよ」
「それを聞いたのも十回目。てか、それなら俺が聴いていいの？」
「そらるさんは、その人の代わりなんです」
「はいはい、俺は代替え品ね」
「拗ねないでくださいよ。これからカラオケいって、プラネタリウム行くんですから」
「俺は何回そのコースに付き合えばいいの……？」
彼は鼻歌を歌い、素知らぬ顔をする。
この鼻歌が終わることはない。聴いてくれる人が、いる限り。
まあ、この歌を伝えたい人は、もういないのだけれど。
＿＿＿でも、ここに君がいたことは証明されるよね？
・
fin.
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千々(プロフ) - ちょこさん» ありがとうございます！ (2022年12月5日 9時) (
レス) id: 1d9d509371 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - とてもよかったです！ (2022年11月4日 20時) (レス) @page22 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - 藍猫さん» おお！おめでとうございます！！（一年ほったらかしにしてて本当にごめんなさい……） (2022年9月4日 11時) (レス) id: 84f8a35d43 (このIDを非表示/違反報告)
藍猫 - ｽｳｯｯｰｰｰｰｰ…そういえば10月18日って私の次の日じゃないですか…えまって嬉しい( 〃▽〃) (2021年7月17日 2時) (レス) id: 0f30a0c194 (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - 翡翠琥珀さん» 飢えているから書けたんですw そう言っていただけるなんて嬉しいです……！ 自信につながります１ (2020年6月18日 21時) (レス) id: a6aff5c4e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：千々 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/tidierika2/
作成日時：2020年4月30日 15時
