短冊に思いを込めて【歌い手】 (ページ3)

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#彼との出会いページ3

大学進学を期に上京した私は、ほぼ初めての東京、初めて送るひとりの生活に浮かれていて。

人生で初めて、ひとりで生活する事になった私が知ったのは、炊事洗濯掃除すべてをひとりでやらなければいけない大変さと。

思いのほか孤独な毎日で、あっという間にホームシックにかかった事は、言うまでもない。

そんな私が最初に興味を持ったのはサークルで。

仲良くなった友達に連れられて見学に行ったサークルはアットホームな雰囲気で、それに惹かれて一緒に参加する事にした。

結局、その活動を楽しむというよりは、私達を可愛がってくれる先輩達と行動する事の方が楽しくなってしまったんだけれど、プラスになった事はいくつもあって。

面倒見の良い先輩には、これまでの人生で触れたことの無い物や遊びなんかも教えられて、受ける講義の決め方なんかも全部教えてもらえて。

人生で初めての『モテ期』を経験して、年上の彼氏も出来て、大人の階段も登った。

そして、出身地の血筋のお陰か……飲み会で潰されたり、酔わせて持ち帰られる……なんて経験もせずに済んでいたから、私はラッキーなのかもしれない。

人付き合いが増えると、それだけ出費も増えるようになって。

実家からの仕送りだけじゃどうにもならないと気付いた私は、アルバイトを始める事にして。

そんな風に考えていた私の目に留まったのは、レンタルショップ新規オープンのスタッフ募集だった。

その広告が目に留まったのは、本当に「なんとなく」としか言えないのだけれど。

人生初めてのアルバイト、初めての面接にガッチガチに緊張してたものの、しっかり笑顔で挨拶していたからという理由で採用してもらえて。

新しいお店のオープニングスタッフとして働けることになったんだ。

オープンするお店は、新しいビルの３フロアを使っていて、午前中から深夜までの営業。

右も左も分からない新人ばかりで一緒に仕事をしていたからか、全てをみんなで作り上げてる一体感が、スタッフだけでなく社員も仲良くさせて。

お店のオープンの３日前、壮行会という名目で飲み会が開かれる事になったんだ。

その飲み会に参加して知った事は、まだ『はじめまして』なスタッフが多くいた事と、かなりの割合で酒好きが集まっていた……という事だった。

その飲み会で、私は彼に出会ったんだ。