#絶対守るから ページ14
こんな人と、話していたくない。
……でも。
「さかたんの部屋にも、どうやって入ったんですか?彼は鍵なんて渡してないそうですよ?」
「鍵くらい……」
「それに、今日、さかたんがどんな状態だったか、知ってる人もいます……これから病院にも連れて行って検査してもらいますし、勿論診断書も出してもらいますから」
「……だからさぁ!!アンタ関係ないよね?いいから坂田出しなさいよ!!いるんでしょ!!」
それから彼女の口から吐き出され始めた罵詈雑言は、とてもじゃないけど聞いていられるようなモンじゃなかった。
でも。
体中の血液が沸騰しそうな位に怒りを感じるけれど、ココで私も噛み付き返していたら意味が無い……彼女から吐かれ続ける悪意を最後まで聞いた。
「とにかく、もう連絡しないで下さい」
「ちょっと!!待ちなさ……」
通話を切って。
アプリを停止させて。
トイレの扉を開ければ、心配そうに私に視線を向けるセンラさんと、白い顔をしてベッドに沈んでいるさかたんが見えて。
ベッドの傍に行って、しゃがんでさかたんと目の高さを合わせれば。
うるうるした瞳が、申し訳ないと思っている事を伝えてきて。
思わずさかたんんの手を握ってニッコリ笑う私に、後ろにいたセンラさんがハハッ!と笑った。
「とにかく、ちょっと寝よ?」
『……うん』
「大丈夫、ココにいるから」
『うん……Aちゃん、センラ、ありがと』
安心したように目を瞑ったさかたんがすぐに寝息を立て始めて。
もしかしたら、安心して眠るのも久しぶりなんじゃないか……なんて思った。
すやすやと眠るさかたんを眺めながら、私の怒りは完全に彼女の方に向いていて。
自分はどうやら、怒りの沸点超えると落ち着くタイプなんだと、この時に初めて知ったんだ。
そして、大学で人脈を広げておいて良かったと思ったのも、この時が初めて。
さかたんが起きたら実家に連絡して事情を説明するよう、説得する役目をセンラさんにお願いして、私はスマホの電話帳から、サークルの先輩の番号を呼び出した。
世話好きで、余計な詮索もしない……そして法律を勉強している人を、私は知っている。
相手が大人気ない事をしてくるのなら……コッチだって、使えるモノは何でも使ってやる。
何としてでも、私の出来る事は全部して、さかたんを守る。
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