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嘘吐きの真実*富岡義勇 ページ2

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Aという人間は嘘をこよなく愛していた。
三度の飯より嘘を好み、顔には何時でも薄ら笑みを貼り付けている。そして神出鬼没に現れたかと思えば何時の間にやら消えている。何とも不思議な人だった。
そんな良くある夜の日のこと、Aは俺に問うた。

「私ね、富岡さんのことが好きです。」


「富岡さんは如何ですか?」
あどけない笑みを浮かべながら聞いて来た目の前の少女は、自身の発言を恥じる事もなく、まるで息をはくように言葉を発した。彼女の綺麗な黒髪が月夜に照らされ艶めかしく光っている。


「…急だな。」
「えへへ、何時ものことでしょ?」
「それもそうだが。」


かと思ったら、今度は笑みを浮かべて絶やさない。相も変わらず表情がコロコロと変わって、おかしな奴だ。
──そういえば、俺はAのことを何も知らない。わかるのといえば名前と性別、そして好きなもの。そのくらいだろう。こうして夜になったら俺の前に訪れるのは日常と化してきたが、本当に其れだけで実際は縁も所縁もない。


「ね、如何なんです?好きですか?」
「…わからない。」
「えー…何時も通りの返答じゃないですか。」


がっくし、と大袈裟に項垂れる彼女はまるで本当に落ち込んでいるようだった。俺はAがその瞳の裏で一体何を考えているのかなんてものは分からないし、彼女が発する好きという感情ですらも嘘なのかもしれない。けど、それでも。

「俺は、お前を知りたい」

そう、思ったから。
俺は彼女の手を取った。


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糸を紡いで*累→←悲恋というものは*我妻善逸



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死輝(しき) - 冨岡義勇の冨を富になっています! (2019年9月16日 13時) (レス) id: 99988b73d5 (このIDを非表示/違反報告)
羅刹(プロフ) - 美咲さん» 錆兎で両片思い把握致しました…!!!書かせていただきたきますね( ´ ▽ ` ) (2019年8月22日 21時) (レス) id: 8e721ab01a (このIDを非表示/違反報告)
羅刹(プロフ) - 美桜さん» あ、ごめんなさい!!お名前が似ていたものでして…。 お館様の裏、頑張って書かせていただきます…!ご指摘共々有難う御座いました(*´`*) (2019年8月22日 21時) (レス) id: 8e721ab01a (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - 羅刹さん» 私は美桜ですよ。美咲さんではありません。レス間違えています。 (2019年8月22日 21時) (レス) id: 87339a530e (このIDを非表示/違反報告)
羅刹(プロフ) - 美咲さん» リクエスト有難う御座います!!書かせていただきたいのですが、お館様の性格がまだ曖昧だったりするのですがご了承くださいませ。(´ `*) (2019年8月22日 19時) (レス) id: 8e721ab01a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Rakutenサブれ | 作成日時:2019年8月21日 23時

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