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「え……、と、」
みるみるAの顔が赤くなっていく。
嫉妬心を隠さなくてもよくなった今、そして、Aも同じ気持ちを抱いていた今、ここしかないと思いぶち込んだ。
リエーフに感じていた劣等感。仲良くなるスピードもそうだが、名前呼びもそのひとつだった。
俺がAを初めから名前で呼んでいたのは、同じクラブチームに、Aが2人いたからだ。コイツと、コイツの弟と。
だから、その区別をするために皆違和感なく下の名前で呼んでいた。
「とび、お……くん……って、ことだよね……」
「あぁ。」
いつの間にかAの手は、ポカポカと暖かくなっていた。
「……わかった。飛雄、くん。……飛雄くん。」
「……」
Aは俺の目を見て、しっかりと名前を呼んでくれた。こういうとこ、律儀だと思う。
つーか、呼んでもらったはいいが、なんて返せばいいんだ。ありがとう、か?リエーフに感じていた劣等感が無くなってヨシ、なのか?
俺が何も言わなかったからだろう。Aはすぐに目を逸らして、俺に掴まれていない方の手で顔を覆った。
「はぁ……恥ずかしい……」
「リエーフの時は普通に呼んでただろ」
「いや、なんか、リエーフくんは灰羽くんじゃなくてリエーフくんの雰囲気があったんだよ。」
まあ、言いたいことはわかるが。
東京の冬も、宮城よりはマシだがちゃんと寒い。
Aは顔を覆っていた手をどけて、ちらと俺たちが泊まっている宿に目を移した。
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しおり(プロフ) - りんさん» ありがとうございます!ネタ考えます🤔 (2022年11月30日 8時) (レス) id: 0e2f0640dd (このIDを非表示/違反報告)
りん - マジで面白いです!いつも楽しみの更新待ってます (2022年11月27日 20時) (レス) id: e34fa82e55 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しおり | 作者ホームページ:http://nanos.jp/amakusa40/
作成日時:2022年10月10日 21時