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研ぎ澄まされた剣に泥は似つかない 一 ページ3

『辻斬りの育て屋?なんだそれ』

 真選組の屯所で土方は事務仕事をしながら、襖に背をもたれて書類を見る沖田に問いかけた。

『近頃騒ぎになってる事件でさァ。どうやら浪人の集団が強い剣士を見つけては指導役を願い出てるらしいですが……表向きは真面目な生徒として剣を学び、その技術を辻斬りとして悪用しているとか』
『辻斬りが増えてきてるのはそれのせいか』

 土方は苦難の様子で眉間を指で押さえため息を吐く。
 最近何者かによる斬りつけ事件が増加していた。
 それも犯人はおそらく一人ではなく、バラバラの人物像だという。

『山崎によると最近、どうにもAさんの周りでキナ臭い奴らが嗅ぎ回ってるようで……』
『……アイツが真選組の訓練指導員として知られるようになったからか』

 真選組に訓練指導員が動員されてから、その話は瞬く間に江戸中に広まった。
 その人物が女であることも、女であっても男を超える剣技を持っていることも。

『この前、山崎が監視してたときAさんを浪人が拐おうとして撃退したらしいですが……そいつもまだ捕縛できていない状況でさァ』

 土方は沖田へ視線を向ける。
 沖田の目つきが鋭く殺気を帯びたものになっていた。

『おい沖田。ヘタな真似はするなよ』
『……土方さん、あの人に危険が近づいてるっていうのに見逃すつもりですかィ。失望しましたぜ。死ね土方コノヤロー』
『うるせェ、てめーがなんかやったら余計にAの仕事が増えるだけだろーが』

 とにかく、と土方は続けた。

『余計な手出しはするな。俺がしっかり監視しておく』
『監視ねェ……Aさんに何かあったら土方さんシメますからねィ』

 沖田は反論したそうに一度土方の方へ視線を向け、小さくため息をついて部屋を離れていった。
 部屋を出ていった彼は、先ほど見えた土方の表情を思い返して頭を掻く。

(あの人もだいぶ本気で惚れ込んでるじゃないですかィ……)

 土方は冷めて瞳孔の開いた目に煙草の紫煙を移し、苛立ちを押さえるように咥えた煙草を強く噛み締めていた。


『……土方さん』
『なんだ』
『いや、あの……家まで一緒に行かなくても大丈夫ですよ』
『仕事終わりに飲みに行きたかったからついでだ』

 仕事終わりに夜も更けてきた頃、土方は帰宅にAを家まで送っていた。
 彼女は辻斬りの件を知らないのか、この状況に困惑していて。

 二人で並んで帰るのはあまりないため、彼女は少しソワソワして目を泳がせていた。

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設定タグ:銀魂 , 逆ハー , 愛され   
作品ジャンル:アニメ
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刹那*桜(プロフ) - アイナさん» あけましておめでとうございます!10個目でも見に来てくださって本当に嬉しいです。ありがとうございます! (2023年1月6日 4時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
アイナ(プロフ) - あけましておめでとうございます。そしてシリーズ数二桁突入おめでとうございます。今年もぜひ、夢主ちゃんとお兄様の活躍と銀魂キャラたちの奮闘を拝見させてください! (2023年1月2日 10時) (レス) id: 503469204d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2023年1月1日 3時

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