先生、教えてください。【うらたぬき】

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『8時37分...』



遅刻だ。完全に遅刻。



『終わった...』



私はこれから浮いた存在になるだろう。



う「おー、A、おはよう。」



にやけ顔のうらた先生がいた。



やっぱり遅刻なのかな。



『あ、あの私って...』



う「早く席つけよー、じゃあ始めるぞ。」



嘘。もしかして見逃してくれてる..？
もう、さらに好きになっちゃいますよ...



花「センセー、Aさんって遅刻じゃないんですかー？
職員室行かなくていいんですかー？」



えー、せっかく安心出来たのに...
てか、たかが2分だけですよ？



う「あー、Aは普通に学校来てたの見たぞ。
で、トイレに駆け込んでるのも見た。だよな？A」



『は、はい。』



うらた先生...！
理由はともかく、私のことを誤魔化してくれてる...
なんて嬉しいことか。



う「んじゃ、気を取り直して始めるぞー。」



私は無事遅刻にならなくて済んだ...
よかった...



う「プリント配るから後ろに回していけよー。」



プリント？なんのだろう。



"進路希望調査"



げっ...嫌いな部類に入るやつだ。



う「お前たちは3年生だからある程度は決まってると思うけど、一応だからなー。
提出期限は金曜日まで。忘れんなよー。」



進路は決めてないからな...
まぁあとで決めよ。



私はプリントを机の中にしまった。



う「はい。じゃあ今日もいい1日をねー。」



うらた先生にお礼言わないと。



『うらた先生。』



う「おう、Aか。さっきのは乗せられなかったお詫びだ。気にすんなよ。理由はとっさだったから...」



優しい。優しすぎる...。



『いえ...嬉しいです。ありがとうございます。』



う「どういたしまして。じゃあ早く一限の用意しろよー。」



『はい。ありがとうございます。』



じゃあな、と言ってうらた先生は去っていく。



あぁ、なんて私は幸せなんだろう。
今日も頑張れる。

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