昔々のおはなし ページ1
・
昔々あるところに、かぐや姫と呼ばれる美しい女性がいたそうだ。
帝や、数々の貴族に求婚されるほど、男たちを魅力する美しさを持っていた。
しかし、そんな彼女は彼らの求婚を断り、とある男を選んだ。
その名は、呪いの王…両面宿儺だった。
〜
とある満月の晩。
とても静かな夜だった。
空にくっきりと浮かぶ満月が、人の世を照らしていた。
本当に偶然だった。
呪いの王は、気晴らしに外に出たところ、一面に生い茂るススキたちと出会った。
その中央に目を凝らすと、女性がポツリと立っている。
草を踏む音が響く。
誰かいることに気づいた彼女は、そっと振り返った。
綺麗な漆黒の髪が風に揺れ、月明かりを反射した琥珀色の瞳は孤独を帯び、涙を流していた。
まずい、と思った呪いの王は、すぐさまその場から立ち去った。
自分でも何故まずいと思い、逃げたか分からないでいた。
しかし、答えは案外簡単なものであった。
呪いの王は、彼女に一目惚れしてしまったのである。
……彼女がどんな存在かもしらずに。
はっきり言えば二人の“正式な”出会いは最悪だった。
「俺の女になれ」
「……は?」
唐突に彼女の家に押しかけたと思えばこの一言。
宿儺が来てからずっと作っていた笑顔を、彼女は崩した。
後ろで待っていた裏梅は思わず頭を抱えた。
「どうぞおかえりください。初対面で俺の女になれと仰る殿方には興味がありませんので」
彼女はにこやかに宿儺にそう伝えたが、彼女の目は笑ってはいなかった。
この状況を見て、裏梅は宿儺に耳打ちをした。
ここは一度引くべきだと。
流石に宿儺も冷静であった。
そのまま宿儺は何も言わずに去っていった。
151人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミルクティー - 面白い!早く、新しい更新来ないかな〜 (3月31日 16時) (レス) @page21 id: 12753137d6 (このIDを非表示/違反報告)
MR サナリア(プロフ) - 新作キターーーー! 嬉しい〜! (3月24日 15時) (レス) @page5 id: bd9c6547a2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:妃夏 | 作成日時:2024年3月24日 13時