雫が四十五粒 ページ47
琴音の話が終わると、辺りはシーンとしていた。
その中には、ポロポロと泣いている者もいた。
「え、ちょっ、は、ハンカチ!」
琴音は慌ててハンカチを取り出し、泣いている敦達のところに向かう。
泣いている敦に涙を拭こうとすると、敦にその手を掴まれ止められた。
「ああ、ごめんなさい。嫌だったよね。」
「違います!!」
ヘラリと笑う琴音に敦は泣きながら反論した。
「謝るのは、僕の方だっ!御免なさいっ。」
泣きながら謝る敦を見て琴音は目をぱちくりさせた。
何故彼が謝るのだろう?謝るべきは、私だというのに。
そう思っていると、後ろから服を引っ張られる。
引っ張られた方を向くと鏡花が悲しそうに、御免なさいと謝って来た。
すると次々にいろんな人達が琴音に謝っていく。
それを、琴音は意味が分からないという顔でその光景を見ている。
「どうして、謝るんですか?貴方方は、何も悪いことはしていなにのに。」
「それを言い換えれば、私達も同じようなものだ。」
先頃まで黙っていた太宰が、琴音にそう言った。
その言葉に首を傾げる琴音に、太宰は一つ溜め息を洩らし、口を開いた。
「私たちも、どんな理由があれ君を傷つけた。君と同じさ。、、、だから、その、御免なさい。」
子供のように謝る太宰を見て、琴音はAの方に歩いていって、Aの肩を掴んだ。
「太宰と付き合って良し。」
「いや、急に話がぶっ飛んだね!?て言うか、何故そうなった!?さっきの雰囲気ぶち壊したよ今の一言で!!」
「いや、太宰さんとなら付き合わせてもいいかなー?って。その方がお母さんよっぽど安心する。」
「いや、お母さんって!?」
「私。どこぞの分からぬ男と付き合うよりましだと思うし、太宰さんAの事滅茶思ってるし。取り敢えず太宰さんは今合格ラインに達した。」
「何その受験に合格した的なノリは。」
「実際そんなもんだろ。」
「いや、全然違うわ!!」
二人のコントのような話がいきなり始まり、ポカンとするみんな。
その中で、大声で声を上げて笑うものが一人いた。
「あっははははは!!!!本当に、君達は仲良しだね。そう思わないか?」
乱歩がみんなの方を見ると、みんなも同意するように頷いたり、そうですねと言ったり、みんな、先程の暗い空気は全く無くなっていた。
太宰も、Aと琴音を、優しく見守っていた。
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狼狐(プロフ) - 必殺!一気読み!!▼狼狐は一気読みを繰り出した▼ ←マジです。1時間で読み終えました(遅)感動し過ぎで泣きました。最初悪女に成り切れない悪女ってどゆこと?って思ってましたがこーゆーこととは・・・・!納得です★あぁ、続きが見てぇ・・・ (2022年2月12日 17時) (レス) id: 563f93d61f (このIDを非表示/違反報告)
つくも(プロフ) - 感動のあまり、涙が……泣けました。コレってアニメ化しないんですか?(冗談です)続編が見たいです。あ、でも、コレで終わりってなるのも味的に良いかも……うあ、でも…………見たい!見たいです!!! (2021年7月3日 15時) (レス) id: 3b5cd0d846 (このIDを非表示/違反報告)
ヨル(プロフ) - 味付けのりぃさん» そう言って下さり有り難うございます! (2019年8月9日 13時) (レス) id: 4f3f949d42 (このIDを非表示/違反報告)
味付けのりぃ - あああぁぁぁ…まじで涙出たぁぁぁぁ…いい話すぎる(?)この作品を作ってくれてありがとうございます…!こんなん泣くしかねーわ(( (2019年8月9日 1時) (レス) id: cae02b46bd (このIDを非表示/違反報告)
ヨル(プロフ) - 557*ココナさん» この作品を読んで下さり有り難うございました!! (2019年7月29日 13時) (レス) id: 4f3f949d42 (このIDを非表示/違反報告)
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