仕事_35 ページ18
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『……!』
骨喰「来る…」
林から敵の気配を感じとり、鶴丸も表情を引き締める。
木々が多いと死角ができやすい。
そう判断したA達は相手を誘き出すように草原へ出た。
だがその姿を見て、鶴丸と骨喰が息を呑む。
鶴「おいおい…残りの一割がこいつらか?」
骨「検非違使……」
『強力な一割だな』
周囲の様子をうかがうようにしながら、五体の検非違使が姿を現した。
目標を探し当てたのか、一度動きを止めた検非違使はのろりとA達を振り向く。
刹那。そのうちの一体がAの眼前に迫って、武器を振りかざした。
「「っ!!」」
あまりの速さに二人は声を出す間もなかった。
検非違使の槍が一閃する。
しかし、Aは体重をもたない者のような身のこなしでそれをよけると、目を合わせた。
『«動くな»』
鶴「そぉらぁっ!!」
言霊で縛られ真っ二つに切り裂かれた敵が、苦痛の叫びを撒き散らしながら消滅していく。
残り、四体。
鶴「骨喰、いけるか」
骨「ああ」
『……?』
Aはふいに眉をひそめる。
おかしい。目の前には確かに四体いるのに、気配は五つだ。
『…気を付けろ、五体いる』
骨「五体…?四体しか見えない」
『気配がある。魂の気配だから、間違いない』
なぜ実体の気配でなく魂の気配なのか と不思議に思った二人だったが、襲いくる検非違使との交戦でそんな考えも吹っ飛んだ。
二人が戦っている間に、Aは見えない一体を探す。
骨「あと、三体…四体か…」
骨喰には歯が立たないと判断した三体が標的をAに切り替える。
鶴「おっと、Aには近付くなよ?」
霊力を研ぎ澄ます彼女の前に立ちはだかり、鶴丸は刃を一閃する。
敵を遠ざけてくれたのだ。
Aは視界の隅でそれを認め、より霊力を鋭くする。
『(どこだ、どこにいる……)』
辺りは草原。見渡しても三体しか見えない。
まさか。
『(上か!!)』
キッと空を仰ぎ見るが、清々しいほどの青空が広がるばかりで敵は見当たらない。
気配は本当に、本当に近くにあるというのに。
鶴「A___っ!」
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作者名:葛の葉 | 作成日時:2018年5月17日 0時