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第33話 ページ33

『………渉くん、』



う「!?」

勢いよく振り返ると、少しばかり服を引かれる感覚。

……Aが俺の服の裾を掴んでいた。

う「A…お前寝てないと…」

『…渉くんの声が聞こえたから…』

う「あ……ごめん、煩かったよな。寝てられないか…」

俺がそう言うとAは黙って首を横に振る。

『…志麻さん、悪くない…から……だから怒らないで……』

志「!!」

Aは涙で少し潤んだ目を隠すように俯いて、俺の服を、キュ、と掴む手を強めた。

う「でも、」

『私も…ちゃんと、言えなかったから……』

志「〜っ、ちゃう!!Aちゃんはうらたさんの従兄妹やって言うとったんや!!それをっ、俺は………ホンマにすまん…Aちゃん、すみませんでしたっ……!!!」

ガバッと頭を下げたのは勿論志麻。
Aは俺の服を掴んだまま、少しだけ志麻の方へ顔を出して口を開いた。

『…頭を上げてください。大丈夫です、私ちゃんと分かってます。志麻さんが……』



───────とても優しい人だってこと。



志「っ、………」

『今までもそうやってメンバーの皆さんを守ってきたんですよね…?…先程も、"敵意"は感じましたけど"悪意"は感じなかったです。』

う「A……」

『だから、良いんです。頭を上げてください。』

Aははっきりとそう伝えた。



…………服を掴む手は震えたままで。



う「………志麻、」

志「…、」

ゆっくりと志麻が顔を上げた。

う「Aがこう言ってるし俺も今回の件は許すことにする。……………但し一発殴らせろ。」

志「……分かった。」

う「っ、!!」

黙って目を瞑って歯を食いしばった志麻の頬に右ストレートを一発決める。

『渉くんっ!!!』

志「っ………ありがとう、うらたさん」

『えっ……』

すっきりした顔で礼を言った"まーしぃ"に、俺もすっきりした顔で頷いた。

う「おう。……坂田、湿布あったよな。」

坂「…まーしぃこっち。」

う「Aは戻って横になろう。」

『…分かった。』

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まなつ(プロフ) - コメント失礼します。ただ一人の私自身を思ってくれる、本当の私を見てくれる、そんな優しい誰かがすぐそばにいる、それを気付かせてくれる誰かがいる夢主ちゃんはとても幸せですね。素敵なお話をありがとうございます (2020年6月25日 23時) (レス) id: c0717d53d4 (このIDを非表示/違反報告)
ゲッティ - 奇遇、私も埼玉住んでる (2020年6月13日 18時) (レス) id: 0adc01732d (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 心春さん» これは世界中で理不尽ないじめと戦う皆の話です。貴方の心に響いたのならきっと貴方も過去(現在かもしれませんが)経験がおありなのでしょう。「結局誰も助けてくれない、けれど何処かに助けてくれる大人は必ずいる」をテーマに書いておりますのでコメント嬉しいです。 (2020年5月26日 7時) (レス) id: 72c92659fa (このIDを非表示/違反報告)
心春 - 泣いてしまいました。夢主ちゃんの周りに素敵な方達がたくさん居て、読んでいてとてもあたたかくなりました。これからも更新頑張ってください!楽しみにしてます。 (2020年5月26日 0時) (レス) id: dd23ca9c81 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - しおさん» ありがとうございます。「貴方にとって優しい世界が何処かにある」をテーマに書いておりますので伝わっていたのはとても嬉しいです。 (2020年5月24日 19時) (レス) id: 72c92659fa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年8月6日 12時

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