第28話 ページ28
う「それじゃあ、頂きます」
セ「頂きます!」
『………』
横に座る渉くんと渉くんの目の前に座るセンラさんがおかずを口に入れたのを、じっと、見つめる。
セ「………うんまっ!!!え!?!?うらたん毎日こんな旨いモン食べてるんですか!?羨ましっ!!!!!」
渉「ふはははは、そうだろうそうだろう!」
……お口に合ったようで良かった。
セ「ご馳走様。おいしかったです。」
う「片付けは俺らでやっておくからAは風呂入ってこい。」
『え、良いの?』
渉くんがコクリと頷いたのを見てから、チラリとセンラさんに視線を移した。
セ「ええよぉ。ゆっくり入ってきてな?」
『……穏やかな人だ。』
湯船に浸かりながらセンラさんのことを思い浮かべる。
渉くんの配信を聴いているとオチ担当ということもあり騒がしいイメージがあったのだが実際はとても穏やかで静かな人だった。
……もっと早く、坂田さんやまふまふさん、センラさんみたいな人と早くに出会えていれば………。
『……なんて、机上の空論か。』
お風呂から上がった私はセンラさんと渉くんに「おやすみなさい」と声を掛けてから早々に自室へ移動した。
セ「ほな、お礼は改めて!」
う「あーもう良いから早く行け!」
結局、翌朝仕事があるからと急ぎ足にセンラさんが家を出て行くのを見送って、私は初めて肩の力を抜くことが出来た。
渉「…ごめんな?」
『え、…あっ!』
申し訳なさそうに謝る渉くんに首を振ることで勘違いしているであろう事案に関しては否定する。
『センラさん良い人だったから、怖かったとかではないよ!…………ただ…』
渉「?」
『何だか今までの環境と違いすぎて、頭が追いついていないというか変な感じがするというか…。』
渉「…」
……ポンポン、
渉「……そっか。じゃあ少しずつ慣れていかないとな。」
『うん、』
私にはまだ、優しさがむず痒いのです。
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まなつ(プロフ) - コメント失礼します。ただ一人の私自身を思ってくれる、本当の私を見てくれる、そんな優しい誰かがすぐそばにいる、それを気付かせてくれる誰かがいる夢主ちゃんはとても幸せですね。素敵なお話をありがとうございます (2020年6月25日 23時) (レス) id: c0717d53d4 (このIDを非表示/違反報告)
ゲッティ - 奇遇、私も埼玉住んでる (2020年6月13日 18時) (レス) id: 0adc01732d (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - 心春さん» これは世界中で理不尽ないじめと戦う皆の話です。貴方の心に響いたのならきっと貴方も過去(現在かもしれませんが)経験がおありなのでしょう。「結局誰も助けてくれない、けれど何処かに助けてくれる大人は必ずいる」をテーマに書いておりますのでコメント嬉しいです。 (2020年5月26日 7時) (レス) id: 72c92659fa (このIDを非表示/違反報告)
心春 - 泣いてしまいました。夢主ちゃんの周りに素敵な方達がたくさん居て、読んでいてとてもあたたかくなりました。これからも更新頑張ってください!楽しみにしてます。 (2020年5月26日 0時) (レス) id: dd23ca9c81 (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - しおさん» ありがとうございます。「貴方にとって優しい世界が何処かにある」をテーマに書いておりますので伝わっていたのはとても嬉しいです。 (2020年5月24日 19時) (レス) id: 72c92659fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凛 | 作成日時:2019年8月6日 12時