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第17話 ページ17

ま「まずはお茶でも飲んで落ち着きましょう。」

う「…さんきゅ。」

まふが出してくれたお茶(ここ俺ん家だよな?)を一口飲んで、ふぅ、と息を吐く。

ま「何となく事態は把握しました。高校生ですか?」

そう言ってAを見るまふの目は、懐かしいものを見るかのような色を含んでいた。
…過去の自分と重ね合わせて見ているのだろうか。

う「高2。明日から◎◎高等学校に編入する事が決まってる。境遇は…まふと似たような感じ。」

ま「…そうですか。」

う「…起きてきて、一緒に朝飯食い始めた時までは……てかこの一週間、一回もこんな事なかったんだ。今朝、いじめのニュース見て、突然……っ…」

ま「…あのね、うらたさん。」

目の前に座ったまふは、優しい声色と表情で続きを話し始めた。

ま「傷ついた人間だって幸せになりたいの。出来る事なら嫌な記憶は忘れてしまいたい。そんな心理が働くから普段はむしろ元気だったり明るいことの方が多いんだ。」

…あぁ、確かに。
Aも小さい事でよく笑ってた。

ま「それが何かをきっかけにフラッシュバックしてしまうこともあって。…まるでパンパンの水風船を針で突くような……そんな刺激で…パンッと簡単に記憶は頭の中を駆け巡る。…その恐ろしさが、うらたさんには分かる?」

う「………いや。」

俺は、まふやAのような酷く暗い過去は持ち合わせていない。嫌な事はあっても、せいぜい思い出して嫌悪するほどのレベルだ。

ま「…叫ぶんだよ、自分が。痛い、やめて、怖い、誰か助けて、…泣き叫んでるの、ずっと脳内で。鮮明な映像記憶とともにね。」

まふの言葉に、俺はソファに座るAを振り返った。

血まみれになった両手を坂田に消毒されて軟膏を塗られた後、包帯を巻かれている最中だった。

頬に残る涙の跡。
振り乱された綺麗な髪。
血に染まった消毒用のガーゼ。
虚ろな目。

ま「…彼女をああさせた人間は、きっと今も何処かで楽しく笑ってるんです。」

う「……んだよソレ。」

ま「理不尽ですが、それがこの世なんです。」

う「……っ、」

ま「……難儀ですけどね。」

真っ直ぐにAを見つめるまふの目には涙の膜が張っている。コイツは何処までも優しい奴だ。

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まなつ(プロフ) - コメント失礼します。ただ一人の私自身を思ってくれる、本当の私を見てくれる、そんな優しい誰かがすぐそばにいる、それを気付かせてくれる誰かがいる夢主ちゃんはとても幸せですね。素敵なお話をありがとうございます (2020年6月25日 23時) (レス) id: c0717d53d4 (このIDを非表示/違反報告)
ゲッティ - 奇遇、私も埼玉住んでる (2020年6月13日 18時) (レス) id: 0adc01732d (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 心春さん» これは世界中で理不尽ないじめと戦う皆の話です。貴方の心に響いたのならきっと貴方も過去(現在かもしれませんが)経験がおありなのでしょう。「結局誰も助けてくれない、けれど何処かに助けてくれる大人は必ずいる」をテーマに書いておりますのでコメント嬉しいです。 (2020年5月26日 7時) (レス) id: 72c92659fa (このIDを非表示/違反報告)
心春 - 泣いてしまいました。夢主ちゃんの周りに素敵な方達がたくさん居て、読んでいてとてもあたたかくなりました。これからも更新頑張ってください!楽しみにしてます。 (2020年5月26日 0時) (レス) id: dd23ca9c81 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - しおさん» ありがとうございます。「貴方にとって優しい世界が何処かにある」をテーマに書いておりますので伝わっていたのはとても嬉しいです。 (2020年5月24日 19時) (レス) id: 72c92659fa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年8月6日 12時

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