虜囚ノ虎ト深紅ノ姫君ー 幻覚 ー ページ46
×××
「出せ! こんなこと、許されると思ってるのか!」
ドンッ ドンッ
頑丈な造りの鉄扉を、何度も何度も叩いている。
中島は囚われていた。
フィッツジェラルドが取り出した物は、Qの異能を発動させる鍵となる人形だった。
緊急プランを阻止するべく、中島は戦争に降参し、組合が探す『本』を捜す為に、自分も探偵社も全面協力をする事を申し出た。
だが、フィッツジェラルドは簡単に計画の変更はしなかった。彼は生き残った側と協力体制を築く事を約束し、人形を破壊したのだ。
「もう煙が上がり始めてる......!」
軟禁されている
すると、眼下に見える街には既に黒煙が上がっている。事故か、火事か、何方にしても事態は最悪だ。
中島は探偵社と軍警が協力をすれば、この様な事態を鎮圧出来るかも知れないと考える。だが、直ぐに其の案は却下となり、切り捨てた。
警察機関にも、組合の手が回っている。協力をするのは難しいだろう。
泉だって、捕まっているのだ。
___ 僕が何とかするしか......
『貴様が? 笑わせるな』
「......!」
其の時だ。
中島の頭の中に、或る人物の声が響いた。本来楢ば、此処に存在しない筈の人物だ。中島にとって其の人物は、言葉で表すならば正に“ 地獄 ”。
嘗て、中島が居た孤児院の院長は、中島に向かって科白を言い続ける。
『貴様は関わる者を不幸にする。何故か判るか? 鏡花とかいう娘も、モンゴメリとかいう娘も、嘗ては安定した場所に居た。___ 引き摺り降ろしたのは貴様だ」
此処には居ない筈の相手、中島は酷く混乱した。未だQの精神操作の影響が残っているのだろうかと、頭を抱える。
思わず耳を塞ぎたくなったが、例え塞いだとしても、声が聞こえなくなる事が無いと云う事は判っていた。
『想像力だ。
聞きたくなかった。
『何度も教えたろう?』
「五月蝿い!」
中島は幻に向かって思わず、虎の爪を振り下ろした。
然し所詮、其れは幻。空気に溶ける様にアッサリと消えてしまう。
嫌な幻覚を見た彼は、荒い呼吸を整える為に深呼吸を数回繰り返した。
「いい気味ね」
×××
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ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» 有難うございます!コメント、本当に嬉しいです。続編も頑張りますっ (2019年7月17日 23時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ヤヨイ― - 第二シリーズお疲れさまでした(拍手) 続編も心待ちしております、ミサぽんさんのペースでこれからもよろしくお願いします。 (2019年7月17日 23時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)
ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» コメント有難うございます、何回もしてくださり 本当に嬉しいです! 楽しんでもらえるよう 頑張りますっ (2019年6月16日 16時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ヤヨイ― - 早速の続編!ありがとうございます!!(感涙) (2019年6月16日 16時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミサぽん | 作成日時:2019年6月16日 15時