虎ト白鯨、葡萄ト人形ー 計画 ー ページ41
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「おはよう
中島は空の上に居た。ヨコハマの街を、
両腕を拘束された中島の瞳には、独り掛けの椅子に優雅に足を組み、シャンパンを飲むフィッツジェラルドの姿が映っていた。
「飛行異能要塞『
「......」
何も云わない。今にも喉笛を噛み千切るかの様な鋭い視線を送るだけの中島に対し、フィッツジェラルドの方は口角を上げ、笑みを浮かべていた。
「感動して言葉も出んか、実に結構」
ガチャ
シャンパンの入ったグラスを置いた時だ。扉が開き、
見覚えのある姿に、中島は瞳を大きく見開く。
其処に立っていた人物は、
彼女は中島に気づいたら、フイと顔を逸らす。以前会った時とは違い、彼女は質素な服に身を包んでいた。
「彼女は......」
「あぁ、モンゴメリ君か? 手の内を知れた異能者に戦術価値は無いのだが、本人がどうしても残りたいと言うのでな......」
“ そしたらまた独りよ そんなのって信じられる? ”
組合しか居場所が無い彼女の選択。
中島の頭の中に、モンゴメリの云った科白が蘇る。
彼女はテーブルクロスを新しくしたり、掃除をしたり、黙々と作業を行っている。
独りにならない為に「何でもするから」と、フィッツジェラルに頼んだのだろう。彼女の心の叫びを聞いてしまった中島は、胸がズキッと傷んだ。
「さて」
フィッツジェラルドは、モンゴメリの事は気にも留めず、指をパチンと鳴らせば話を始める。
「こうして呼んだのは、君が知りたかろうと思ったからだ。組合の目的、そして____ 君を連れ去った理由について、な」
「何?」
中島は俯いていた顔を上げた。
確かに何故彼等が自分を狙うのか、何故七十億もの懸賞金を懸けられたのか、中島本人には、全く見当が付かなかった。
肝心な事だけ知らぬ儘だった彼にとって、フィッツジェラルドの話には耳を傾ける必要がある。
一先ず、話を聞く事にした。
「我々は、ある『本』を探している」
白鯨は其の間も、空を飛び続ける。
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ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» 有難うございます!コメント、本当に嬉しいです。続編も頑張りますっ (2019年7月17日 23時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ヤヨイ― - 第二シリーズお疲れさまでした(拍手) 続編も心待ちしております、ミサぽんさんのペースでこれからもよろしくお願いします。 (2019年7月17日 23時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)
ミサぽん(プロフ) - 夜宵 ―ヤヨイ―さん» コメント有難うございます、何回もしてくださり 本当に嬉しいです! 楽しんでもらえるよう 頑張りますっ (2019年6月16日 16時) (レス) id: ec52e47c5d (このIDを非表示/違反報告)
夜宵 ―ヤヨイ― - 早速の続編!ありがとうございます!!(感涙) (2019年6月16日 16時) (レス) id: 03eb66dcd7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミサぽん | 作成日時:2019年6月16日 15時