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(ダメ…起き上がれない。)
力を入れようとすると体の力が余計に抜けていく感じがする。思考も停止し頭の中には何も考えることが出来ないし熱と寒気に浮かされ意識が朦朧としてきた。
このまま死んじゃったりして……。まぁ、それもそれで運の尽きかな……
「__A。」
(だれ……)
カツンカツンと靴音がこちらに近づきピタリと停止したのが分かった。するといつの間にかふわりとした浮遊感と暖かい人の体温を感じ取ることが出来た。
うっすらとまぶたに力を入れて持ち上げると人影が見えた。その人物はするりと私の頬に手を置いてそっと触れて、優しく筆のように撫で下ろした。
「寝てろ」
その声には耳障りが良くて、不思議と安心感からきたのか自然に瞼はゆっくりと落ちていく。
「うらた…さん……」
最後に覚えているのは甘美なジャスミンの優雅で落ち着く香りと私に向ける鮮明で映える若草のような花萌葱色の綺麗な瞳だった。
♧*:;;;;;;:*♧*:;;;;;;:*♧
「悪かったな。早く助けに来れなくて。」
馬車の中、安眠と言えないほど息を乱しながら眠るあどけない顔と雫と汗で額に張り付く髪。時折苦しそうな顔を見せるものだからその度に不安にさせないようAの頭を撫でたり手を握ったりした。
何があったのかは原因はよくわからない。でも偶然にも俺がトゥルース城に行く途中こいつは倒れ込んでいた。しかし表情を見れば目の下には赤い跡を残していて涙を流した証拠だとすぐに一目で分かるような感じだった。
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ヨル(プロフ) - コメントありがとうございます!何とかひねりにひねって作品を良いものにしていきたいと思いますのでよろしくお願いします (2020年1月16日 20時) (レス) id: 676346443e (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - この作品好きです!続き楽しみに待ってます! (2020年1月16日 20時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
パピヨンlove - ヨルさん» いやいや全然!バイト〜〜〜頑張れ!!!!!(元気玉)いつでも待ってるよ(イケウ``ォ) (2019年8月21日 1時) (レス) id: 96ecbd33f4 (このIDを非表示/違反報告)
ヨル(プロフ) - パピヨンちゃんおひさ!ありがとねー!!今、バイトとかの予定で中々更新頻度が下がってしまってね…気長に待ってて! (2019年8月11日 19時) (レス) id: 676346443e (このIDを非表示/違反報告)
パピヨンlove - ヨルさん久しぶり!!!!作品面白いね。読んでて楽しいよ!!更新頑張って! (2019年8月11日 13時) (レス) id: 96ecbd33f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夜紅茶 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/qZN5vxyJ6V2/
作成日時:2019年6月28日 15時